第19回博麗神社例大祭にて頒布された凋叶棕新譜『𠷡』を聴きましたので感想を書きました。博麗霊夢には申し訳ないのですが、感想なので勝手な妄想として書きます。
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本記事にはネタバレと勝手な妄想と解釈違いが含まれておりますので閲覧の際はご注意ください。
◇「ゆわい」つけられた「関係性」
十数年程も続く東方Projectの二次創作においてジャンル「百合」に該当する作品は黎明期より数多く創作されてきました。
ある者は数少ない公式の描写から百合妄想を拡大させ、またある者は描写も何もないところから新たな関係性を創作し、公式描写が増えるにつれて新たな関係性の描写に脳を破壊される者も現れる一方で公式との解釈違いを歯牙にもかけず己の解釈を突き通す逞しい者もおりました。
「この二人って接点あったっけ?」「そんなデレデレした関係じゃなくない??」「そもそも二人称おかしくない???」・・・。まあ、細かいことは置いといて「なんとなくこの二人いいじゃん!」というのもカップリング二次創作の楽しみ方でもあります。接点なさそうなカップリングが後に出た公式書籍で関係性が補強されることもあったので、実は接点があったなんてロマンもあるんですよね。
思い返せば東方キャラ同士のカップリングの数もすごいことになってそうですよね。2021年に行われた第16回東方Project人気投票Exのベストパートナー部門において投票のあったカップリングの数は1000を超える結果となっていました。
でも、その中でも一番カップリングの組み合わせが多いキャラクターって誰なんでしょう?前述のベストパートナー部門の結果をもとに調べてみようと思います。東方キャラの中で「関係性」を一番ゆわいつけられている幻想少女、それは・・・。
「なんと最も関係性を結わい付けられている幻想少女は博麗霊夢とのことです!つまり、霊夢ちゃんはテーマ「関係性」のアルバムの看板に相応しい少女だったのです!(ほんとに?)」
RDWL-0034は縦に ”百合” と書いて『𠷡』。読み方は「ゆわい」。”百合” 故に間に挟まろうとするモブが出禁になっています。(霖之助も出禁?)
本作のジャケットを飾る博麗霊夢を中心に「関係性」を「結わい付ける」といった意味合いがあるようで博麗霊夢と誰かの「関係性」を表現したアルバムです。確かに博麗霊夢って原作で出番が多い分、各勢力様々なキャラクターと接点があって整数ナンバーが出るたびにカップリングが増えてる気がしますね。
今作は原曲メロが分かれば分かるほど楽しめる二次創作らしい二次創作になっている印象です。それ故に凋叶棕の中でもストレートな作りだと思います。同じく霊夢ちゃんがジャケットの『掲』もストレートでしたね。やはり王道は主人公の証・・・。
しかし、ただ単にストレートなだけではなくテーマ特有の面白い部分もあります。巫女はネタの宝庫と言いますか、博麗霊夢の魅力は一言では語りつくせないことは周知の事実ですが、それと同様に任意の関係性における博麗霊夢もそれぞれ違った魅力があります。
『𠷡』においてはファーストトラックとラストトラックの一部の歌詞を除き一人称が博麗霊夢から見て相手側であることから同じ博麗霊夢でも関係性によって違って見えてくるでしょう。博麗霊夢が誰に対しても ”つんでれいむ” ってわけじゃありませんよね?ところで博麗霊夢は人間にも妖怪にもさほど興味がないという話がありますが、、、、、
おっと、これ以上は各楽曲の感想で語っていきたいですね。
◇百合の園、開園!
今回の例大祭はお留守番にして委託で入手しました!委託をしてくれる作家さんたちやメロンブックスさんには足を向けて眠れません。もはや立って寝るしかないくらいで本当にありがたいです。今回の例大祭はいつもの活気が戻ってきたようですごく喜ばしいことです。心なしかここ1~2年の中でも豊作でとてもたすかります!
ということで第3次メロン遠征で『𠷡』入手できました!私は霊夢ちゃん推しなのでいつもよりワクワクしつつでも少し不安もあるといった感じです。カップリングを描いた二次創作にもそれなりに明るいつもりですが、ケースによっては「うーーーーーーーーん・・・。」と唸ってしまうことも多いので難しいところです。
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裏面確認!百合百合してる!
今回ジャケットのロゴが学園もの百合漫画の校章チックで洒落てて好き!フォントも某百〇姫のテイストがある?ほらあのホームベースっぽい尖り方の。
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外装をはがしてケースを開けます。
真っピンク!何故かバレンタインデーの思い出がフラッシュバックし個人的ダメージを受けます。「selfish delusion」というのは正にその通りです。
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CDを外すと、あら可愛い。
ドライブにセットして曲数確認!
◇楽曲の感想
ボーカルとインスト合わせて9つの関係性!全10曲だと勝手に思っておきます!
メロディーに耳をすませばきっとふたりの幻想少女が見えてくる。今作はいつもより原曲が前に出ている印象です。また原曲メロによる物語的表現も健在です!
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M01. わんだーらんど・でさくらいぜーしょん
さっきの続きですが、霊夢ちゃんが妖怪にも人間にも興味がないという話はオンラインマニュアルにある通りであり、その性格と種族を選ばず惹きつける性質との相性がすこぶる悪いのかと思いきや実際に茨歌仙や酔蝶華の描写を見てみると霊夢ちゃんは案外うまくやっているようです。いつも誰かにちょっかい出されてぷんすか怒ってる霊夢ちゃんですが、呑気な性格が幸いしてか本気で怒ってるわけでもなくただ感情が豊かなんですね。いやでもね、ひとを惹きつけておいて本気で拒まずの態度って、ねぇ?しかも好意を伝えるでもなく結局のところ相手に興味がないからその関係性が報われることもないしって何だこの関係性ブラックホール存在は???霊夢ちゃんは迷惑してるかもしれないけど誰に対しても平等に接して勘違いさせる霊夢ちゃんにも責任あると思うんですよ。幻想郷の姫のつもりか?えっ?生まれ持った力だから霊夢ちゃんに責任はない?まあそれは確かに。はなだ先生の霊夢ちゃん可愛すぎるからゆるす。ブックレット読んでるとドアップ霊夢ちゃんの視線がちくちく刺さって左頬が痙攣するくらいには可愛いが過ぎる。でも左手薬指はちょっと欲張りすぎ。たぶんコイツ八雲。
いつも誰かにぷんすか怒ってて、多くの関係を持ってはいるが誰か特定の一人に対して肩入れはしない、確かに私の中の博麗霊夢像にかなり近いです。特に「思い煩うことこそが煩わしい」はものすごく博麗霊夢を感じます!細かいことも難しいことも考えるのは面倒だし目の前の妖怪退治だけやってればいいっていう思考は原作において思い当たる節が多すぎです。妖恋談のなぜ他人に興味を持たないのかどうかはちょっと解釈が分かれるかもしれないですが、博麗霊夢は自分の力不足で誰かを失うことに対して忌避感を持ってそうだなとは思っています。思い当たるのは小鈴や菫子への対応ですね。故に深い関係性を結ぶのを避けるようにしているのかもしれないです。ただのつんでれいむってわけではなく、何かそうなる理由があった方が少女らしい可愛げがあって良いものですね。博麗霊夢はかよわきいきもの・・・。
最初聴いたときにもちょっと思ったんですが、いつもより原曲が前に出ていていいですね今作!歌詞に合わせた効果的な博麗霊夢のテーマ曲チョイスいい・・・。しかもこの楽曲に限らず博麗霊夢が隠れミッキーのごとくいるわいるわで・・・。少女綺想曲いい・・・。
M02. 恋人形
今作のnayutaプロ枠。サビ前のオーエンピアノが好き。
剛欲のアレで近年アツいフラ霊!フランドールが紅魔郷霊夢に言及したのは剛欲だけではなく、智霊奇伝でも少し触れてるのが執着心ありありでちょっとキモいまであります。数少ない鮮烈な思い出を脳に焼き付けて生きる引きこもり厄介オタク(495)・・・。そして『恋人形』のフランはさらに倒錯的になってる!あの紅魔郷霊夢から至近距離から大量の針をぶっ刺されてスペルを瞬殺されるという超暴力行為を受けているのでそうなるのも仕方がないですね。フランドールは乱暴されたい。つまり百合乱暴、略してアサルトリリィ。
普段からフランと霊夢が遊んでいるかどうかは微妙な気がしますが、霊夢はいつでも遊びに来るらしいので普段から遊んでるのかもしれないです。文脈としては「神社に来るな」って話ではあるのですが、「いつでも遊びに来る」って言っちゃう霊夢も悪いと思いますね!そーゆーとこ!
まあでも、フランドールは珍しく博麗霊夢からの評価が結構高い気がしており、悪い子ではあるけど能力と実力に関してはフランドールを認めているイメージがあります。グリウサで弾幕厄介オタクを発揮していた博麗霊夢も紅魔郷EXTRAの見た目ヨシ!パターン作りごっこヨシ!気合い避けヨシ!回ってヨシ!の粒揃いの弾幕に割と満足してるんじゃないかなと思っているのですが、実際のところは謎です。博麗霊夢がちゃんと「フランドール」「フラン」と名前で呼んでるし、10点付けてるし、フラ霊はあります!
M03. Like a younger sister.
『明日ハレの日、ケの昨日』と『春色小径 ~ Colorful Path』の相性がなかなか良さそうな気がしてきます!この二曲ののんびりとしたオフの日のイメージがうまくマッチして良いですね!
サナレイは姉妹っぽいかどうかは「んーーーどちらかといえばそう」と思っています。どっちが姉で妹かでいうと霊夢が「ぐーたら姉」で早苗の方が「よくできた妹」かなあ・・・。お互いの商売動向を見て内心焦ったり、倒れた時には看病に訪れたり、一緒にやしょうま作りをしたり、この二人には宗教敵としてライバルであると同時に仲の良い友人でもあるってイメージがあります。早苗は霊夢が珍しく明確に対抗意識を燃やしている珍しい相手であり、実は早苗も早苗で霊夢を挑発しに来たり、宗教戦争に参入できなくて焦ったりとお互いに対抗意識を持ってるという結構面白いコンビです!双方向なのが良い!
ハレケと春色小径のイメージと明るくテンポの良いアレンジが相まって、なんとなく人間の里で仲良くデートする二人のイメージが浮かびます。この二人は並んで歩く姿が映えていいよね・・・。赤と緑の補色効果ってやつだ・・・。ハッ!まさか!あの世界一有名な配管工兄弟を(ここで文章が途切れている
M04. 巫女がために鐘は鳴る
サニ霊夢?どっちかというと光の三妖精と博麗霊夢の関係性?ガラクタを漁るような音と衝撃が発生したような音から推測すると三月精OSP最終話『空飛ぶ不思議な巫女』だと思います!(弔鐘)
この三月精OSP最終話の内容は『𠷡』を考える上で結構大事だったりします。やはりサニーは頭良いと思うんですよ。博麗霊夢をよく分かってるし、よく見ています。当然このあと秒殺されていますが、この後に冷たいだけじゃない博麗霊夢が見られるのが良いんですよ!記念すべき馴れ初めのお話でもあり、この後に続く公式書籍でたびたび博麗神社に光の三妖精が現れています。ご近所さんですからね。
ここ辺りでようやくわかってきたのですが、やはり今作はアレンジの仕方が面白いです。離れた場所で様子を伺うような控えめな少女綺想曲(と一瞬流れる空飛ぶ巫女)がすごくいい!凋叶棕のこういうところが好き!
M05. two of a kind
ジャジィなアリレイ!!!ぇえ!一緒に寝るのかこの二人!!?えっでもよく見たら一緒に寝てなくない???霊夢ちゃんは白い布団だけどアリスの方は青みがかったコンフォーターじゃない???よかったレイアリ同衾は無かったんだ・・・。
まあ別にあっても良いんですがね?この二人は息をするようにそういうことしててもおかしくないと思うんですよ。なんとなくこの二人はちょっと浮世離れしていて我々現代社会の貞操観念からは少し外れた常識を持っている気がしますし。明らかに薄い本の影響ですね。はい。
「この二人のどこが似ているのか?」は「ここらへんの性格は霊夢に似ている」という設定.txtの記述を読めば分かる話ですが、全力云々の話以外にもある程度共通点はあると思うんですね。ですが、全部は似ておらず一部だけ似てるだと思ってます!例えば「冷たそうに見えて意外と優しい部分」は似ていると思います。東方三月精では例の三妖精に対して一瞬厳しいようで家に泊めてあげたり居住を認めたりで優しく接しています。で、「全力は出さない」。これは「実力も含め自分のことを隠す」といった底を見せない部分なんだと思います。博麗霊夢の場合は役割故に弱みになるから隠す、アリスの場合は何でしょうね?この二人は単に口数が少ないというわけでなく、自分のことについて話さない感じだと思っているので、この二人しかいない空間では自然と口数が少なくなりそうです。
似ていない部分は「能力・役割・種族故の個性」が大きいと思います。あと寝相も似ていないですね。博麗霊夢は割と寝相が悪いです。寝ている姿は似てないのにイラストがこれなのが面白いですね。博麗霊夢の方が悩みがなさそうなだらしない寝顔をしていますが、アリスに悩みなんてなかったのではなかったのか?話したいだけなら普通に話せばいいのに。なのでこのアリスは2点です。
M06. 雨空の向こう側に
呼称は鈴霊夢でいいのかな?小鈴ちゃんと博麗霊夢の関係性は鈴奈庵でねっとり描写されているので比較的分かっていることが多いカップリングです。博麗霊夢からすれば監視対象であり守るべき少女、小鈴ちゃんからするとお得意様兼頼れる巫女さん。そして小鈴は博麗霊夢が「ちゃん付け」で呼ぶ希少な存在です。「ちゃん付け」は美宵もそうですが、庇護対象として見ている少女に対して「ちゃん付け」になるのかもしれません。
今作はインストの表現がとにかく良い!耳も博麗霊夢に毒されているせいなのか、最初のピアノは『永遠の巫女』に聴こえて蓬莱人形版みたいに雨が降っている表現なのかなって思うし、最後の綺想曲アレンジが博麗霊夢が空からご来店!って感じもしますし、博麗霊夢の存在を確かに感じるアレンジになっているのがたいへん良いです!
雨の日の鈴奈庵はお客さんも少なくて暇なんだろうなぁという気がしていて店の中でレコードを聴きながら暇そうに外を眺めてる小鈴ちゃんの図が思い浮かびます。しかし、博麗霊夢は快晴の巫女ですからね。雨が上がったから博麗霊夢が来たわけではなく、博麗霊夢が晴れを持ってきてくれたと考えるとエモさがわいてきます。
M07. Shoot the shrine maiden!
ド直球なあやれいむ!「い つ ま で も(♪永遠の巫女)」を聴くと「うわっ!おっっっっっも!」ってなりますね!音楽は軽快なのに激重ソングです。
私思うんですが、凋叶棕は射命丸文のアレンジ作らせたら毎回凄いパワーを発揮しますよね!射命丸文はめらみぽっぷさんの歌声ともすごく相性がいいと思うんですよ。なんだろう、めらみさんの明るく爽やかな声質がうまくハマってる気がするんですね!
さて、問題の射命丸文が本当にそんなこと思ってんのか?という話ですが、彼女の口から出た言葉に関しては嘘偽りではないと思っています。ただ胡散臭いあの射命丸文のことなのでちょっと信じがたいですが、作中での行動は博麗霊夢を徹底的にネタをしていてセリフと行動に差はあまりないです。なんなら事件がないときは「博麗霊夢が事件起こさないか酷い目に合わないか」と博麗霊夢のことばかり考えてそうでキモいまであります。酔蝶華第9話で「神社の梅酒祭りなんてどうでもいい」とか言いながら結局しっかり一面にしているのは草ですね。明らかに博麗霊夢が癖になってんだよなアイツ・・・。なので嘘ではないはず・・・なんだけど!でもやっぱちょっと胡散臭いなと思っているので、いざ歌詞にストレートな心情を書かれると「本当にそう思ってるかなあ・・・」とちょっとうーーーんとなります。原作で発したセリフの中には博麗霊夢に対して激重なものも実際あるけど難しいですね。まあどんなに激重感情向けてても博麗霊夢からすると0点ですが!!!
儚月抄の某話の射命丸文のセリフを読む限りでは全ての博麗の巫女がネタになる巫女というわけでなく、ネタになる巫女とネタならない巫女の両方が居たとも取れるし、博麗霊夢が特別ネタになる存在だとも取れますね。六十年毎に訪れる歴史のサイクルの話も気になりますが、過去の博麗の巫女と射命丸文がどういう関係性を持っていたか妄想してみるのも面白いかもしれないです。
M08. edificative moves
華扇ちゃんによる博麗霊夢修行パート!爬虫類コースの内容が当時から気になって仕方がないんですが、具体的にどんな修行なんでしょうね?アーボック丸〇みか?
タイトルの『edificative moves』の意味は「教導的なムーブ」って感じなんですかね?博麗霊夢にとって茨木華扇はどういう立ち位置かというと精神的な教導者のようなイメージがあります。戦闘技術を教える立場よりもメンター的な立ち位置が近く、いつも調子に乗って道を踏み外そうとする博麗霊夢を叱り、時には巫女としての活躍を認めて褒める、そういった場面が茨歌仙ではよく見られました。まあ実際は叱られてばかりでしたがね!神主が茨歌仙最終話連載時のインタビューで語っていたように華扇は「博麗霊夢を成長させる」という目的があって説教キャラになっているので正に教導者のような存在なんですね。
中華風なアレンジで古琴と竹笛の音が心地よいです。山の中にある華扇の館が中華風なので茨歌仙第5話の修行パートのような光景を思い浮かべます。時折交互に流れる『華狭間のバトルフィールド』と『永遠の巫女』が修行の合間の対話にも思えますね。
M09. ククリククラレ
香霖堂!Curiosities of Lotus Asia!赤いちくわリボン!今すぐ東方香霖堂を読め!うおおおおおおおお!!!
†八雲立つ夜†
ってなった楽曲です。今作のイケめらみさん枠。
八雲紫はとにかくズルい。まずネーミングからしてズルいし、それがもう公式書籍で語られちゃってるのがズルい。レースで言えばフライングみたいなもんですよ!まあ霖之助が言うことなので話半分で聞いた方が良いというのはそれはそう!「幻想郷を操る妖怪 八雲の名前に隠された秘密とは・・・!?」って煽りの胡散臭さ半端ないですね???そういうブログか?
冗談はさておき、精神的な教導がメインであった華扇とは対照的に八雲紫は結界技や神降ろしの術といった戦闘技術の面で修業をつける師匠ポジションのイメージがあります。実際、香霖堂の某話と儚月抄の某話では八雲紫が博麗霊夢に稽古をつけていましたね。まあ香霖堂の某話と儚月抄の某話は連載時期がほぼ同じなのでどちらも神降ろしの稽古なんでしょうけども。結界技や体術のところどころが似ているなど稽古の跡が少し見られますし、さらに博麗霊夢はいつの間にやらスキマの技も体得しているようです。そのうち博麗霊夢が傘でも持ち始めるんじゃないかと心配な時期もありました。
博麗霊夢が巫女として歩んだ道の果てに八雲紫と対峙するというのはゆかれいむの王道(異論あり)ですね。博麗の巫女と八雲紫の関係性は昼と夜のようにまるで表裏一体のようにも思えます。ノロイノロワレ、ククリククラレ。
『空飛ぶ巫女の不思議な毎日』で表される文脈は数多くありますが、今回の場合は「境界」と「空」にあると思いますね、なんとなく。
M10. しかしなにもおこせない ~ Hero’s Challenge
またこれ古き良きド直球の ”マリレイ” を最後に持ってきてンモーーー!!!サブタイまで付いてチップチューンリアレンジってンモーーー!!!霊夢の腕の中で息絶える霧雨魔理沙かよ?!ってなります!『少女綺想曲』と『恋色マスタースパーク』の合わせ技が本当に秀逸な名アレンジです!特に二人の掛け合いの裏メロが最高に良い!今回のアレンジではさらに豪華になってるのでこのアレンジの良さが広まってくれてることでしょう!
最近は諸事情により感覚が麻痺していますが、この二人を描いた二次創作には「天性の強者である霊夢に追いつきたくて努力する魔理沙、当の霊夢は突っかかてくる魔理沙に対しドライな対応、だけど実は」といったような「努力型と天才型のライバル」としての関係性が多く見受けられました。現在の霊夢には「魔王」と呼べるほどの威厳はないですが、このアレンジを聴いていると昔の空気感を思い出すこともあって胸に込み上げてくる熱いものがあります。そういう「古き良き」な感じです。もちろんこの二人は「ライバル」ってだけでは語れない程に多様な関係性があるので一概には言えないですが、代表的な関係性の一つだといっても差し支えないほどの唯一性を持っていると思います。
『𠷡』において、原曲表記に博麗霊夢のテーマがあるのは『わんだーらんど・でさくらいぜーしょん』と『しかしなにもおこせない ~ Hero’s Challenge』だけなんですよね。博麗霊夢の一人称も含まれているし、なんとなく他の関係性と一線を画す一曲に思えます。まあしかし、この魔王霊夢は魔理沙の夢なのかもしれませんが・・・。
そういえば『𠷡』全体を通して「ゆめ」という単語が多くあったような?もしかしなくても博麗霊夢の夢女子アルバム・・・?
◇好きなワンフレーズTOP5
聴いていてグッと来た部分を紹介します。
1位 (恋色マスタースパークからの少女綺想曲へのつなぎ)
『しかしなにもおこせない ~ Hero’s Challenge』より。サビ前からサビにかけての歌メロの変化も好きですが、「世界の半分もいるものか」からの「そこに望みが在り続ける限り」も大好きですね。この二曲は何気に凋叶棕のアレンジでは唯一の原曲の組み合わせですね?
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2位 そのことに思い煩うことこそが煩わしい
『わんだーらんど・でさくらいぜーしょん』より。博麗霊夢濃度の高いワンフレーズ。この一言は正直な気持ちとしてそう思っているのだろうけど、この子には自分の気持ちを丁寧に整理するほどの要領の良さはない・・・。
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3位 「い つ ま で も」
『Shoot the shrine maiden!』より。急に重いのやめろ!
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4位 赤くて赫赫くて赫赫赫くて赫赫赫赫赫くて ああ溺れていく
『恋人形』より。博麗霊夢の眼は良い・・・。ブックレットも紅魔郷スタイルで良い・・・。
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5位 (最後に流れる少女綺想曲)
『雨空の向こう側に』より。「れいむちゃんきちゃー!きゃっきゃっ!(幼児退行)」ってなります。
◇まとまらないまとめ
少女綺想力高すぎる。
どっちを向いてもどこを聴いても博麗霊夢がいるレベル!アルバム全体を通して博麗霊夢が登場していて、インストでさえ原曲メロを引っ提げて割り込んでくるという徹底ぶり!第三者が挟まる余地がない!!!!そのせいでオリジナルだと思われるメロも少女綺想曲のアレンジなんじゃないか?いや春色小径か?いやいやまさかのWitchingDreamなのか!??と原曲がゲシュタルト崩壊してしまいます!
そうなんですよ!今作は原曲メロの登場のさせ方が面白いんです!表記された原曲はいつもよりも分かりやすくサビ頭の歌メロがモロに原曲のメロになっているアレンジも多いのですが、表記されていない原曲として博麗霊夢のテーマがたびたび顔を覗かせるのが楽しくて素晴らしい部分です!凋叶棕の過去作でも同じように特定キャラクターが登場する描写を原曲メロにより表現することもあり、私は凋叶棕のそういうところが好きっていうのもあって今作は結構お気に入りです。
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今作のテーマ「関係性」について。『𠷡』と書いて「ゆわい」という読み、加えて「博麗霊夢を中心に関係性を結わい付けられる図」は「誰が関係性を結わい付けているのか」という疑問と気付きを与えます。
まず第一に「博麗霊夢を中心に集まったキャラクターたちが博麗霊夢に対して都合の良い勝手な幻想を結わい付けている」という見方があります。そして第二に「キャラ同士の関係性を結わい付けられる存在は原作においては唯一原作者だけであり、原作を見て関係性を見出さずにはいられない我々は夢と妄想の中で勝手な関係性を結わい付けている」というメタ的な見方です。
これらメタ的な見方も含めたメッセージ性は博麗霊夢の持つ惹き付ける性質、誰に対しても平等な性格、周囲の曲者たちに迷惑そうにしている態度、それぞれと相性が抜群です。東方Projectにおいて総受けが似合うキャラは博麗霊夢だけではないですが、このテーマ故のメッセージ性を考えれば確かに博麗霊夢が似合う、だから博麗霊夢を抜擢しているという納得感があります。しかも、ただの総受けってわけではなく、博麗霊夢に向けられた矢印は各々独立した唯一性を持ち、勝手な妄想として作り上げられた幻想の博麗霊夢像もまた人の数だけ唯一性があるんですね。「博麗霊夢は誰彼の幻想を背負っている」という状況が若干の『彁』成分を想起させます。
カップリング創作の本質は罪・・・!第三者である我々が勝手にあるかどうかも分からない関係性を見出し、勝手に二人の出会い・絡み・結末を捏造してまでも白い紙の上に具現化させてしまう罪・・・!レーベル英文の「selfish delusion」とは正にその通りなわけですよ!!!
いやーでも、上海アリス幻樂団は霊夢と魔理沙のカップリングの最大手ですからね!ンモー公式が最大手って最強じゃないですか!ああだから最後のトラックが博麗霊夢のテーマ曲が表記された唯一の関係性な上に博麗霊夢が一人称として登場するんですね!レイマリ・マリレイは公式だからしょーがないね!
・・・ほんとに?
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以上、勝手な妄想マシマシの『𠷡』の感想でした!「うお博麗霊夢アルバムやったー!」→「・・・なんか博麗霊夢多くない?(逆張り)」→「まあでも多いだけの理由があるんだよな・・・(納得)」→「我々の夢を背負って飛んでくれ博麗霊夢」という感想の流れが自分の中にありました。
今作のお気に入りは『わんだーらんど・でさくらいぜーしょん』と『ククリククラレ』とインスト全部です!音楽的かつアレンジ的には全体通して好きという気持ちがあります!博麗霊夢の原曲好きなんでね・・・。もっと人類は博麗霊夢のテーマ曲を聴くべき・・・!原曲プレイリスト作ったので聴いとこうね!