【C99】RDWL-0033『△』感想

秘封俱楽部をもっと広めましょう!コミックマーケット99にて頒布されたサークル凋叶棕の新譜『△』を聴きましたので感想を書きました。あくまで感想なので喜んだり悲しんだり怒ったりします💢💢💢

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本記事にはネタバレと多世界解釈と隠し要素が含まれておりますので閲覧の際はご注意ください。”原点” は見たか?見たなら読んでOK!


◇秘封倶楽部とSFの親和性

前回はアルバム『報』を頒布した凋叶棕。災禍の中、絶望の淵に沈むオタクに経済活動を促し、「しあわせ」とは何だったかを思い出させてくれた最凶最悪でありながらも有り難い一枚であった。

かくして2年の歳月を経て再び現世に蘇ったコミックマーケット。どうやら凋叶棕も新譜を頒布するらしい・・・。

さて、今回の凋叶棕の新譜は?

(((   †┏┛墓┗┓† ズズズ…

・・・・・・。

ということらしいです。

えっ何ですか?これは。

えっ何、こわ・・・。

おい漢字どこいった!

RDWL-0033は『△』!「さんかく」?「とらいあんぐる」?「でるた」?

どうやら「テトラ」と読むらしいです。一般的に「テトラ」とは「4つの~」という意味の言葉ですが、表記が三角形とはこれ如何に?イオニア式ギリシャ数字では「でるた」(δ’)も数字の「4」ですが、本作は『Δ』ではなく『△』と書くことに意味があるようです。

テーマは「サイエンス・フィクション」です。しかも、どの楽曲にも秘封倶楽部が関係しているという凋叶棕初の秘封倶楽部専門アルバムです!月面旅行、ヴァーチャルリアリティ、テラフォーミング、量子論・・・。我々の世界の近未来を描く秘封俱楽部の世界観と「サイエンス・フィクション」の相性はすごく良いと思います。よって本作は秘封俱楽部が好きだという方には胸を張ってオススメできるのではないでしょうか!!!

ん?いや待てよ。秘封しかないのに「東方」マルチジャンルアレンジアルバム・・・?秘封は東方か???

気になったので調べてみました!令和最新版の神主曰く「もともと秘封と東方は違う世界観として作っていたけど作品を出していくにつれて東方と秘封はお互いに近づいている。」「今では間違いなく東方の一部になっていますね。」(情報ソースはこちらこちら)ということなので秘封専門だとしても「東方」と言ってよいのかもしれないですね!いかがでしたか?(そういうブログか?)

音楽ジャンル的にはSFらしくテクノっぽいリズム・サウンド!そして華麗なピアノストリングス!って印象です。こういうの!ほんっと大好物!音的には今作めちゃくちゃ刺さってます!もしかしたらクラブイベントで流してもマッチするかもしれませんね?


◇冬コミ&開封!

今回は神主の記念CD「虹色のセプテントリオン」入手するため、2年ぶりのコミケに一般参加してきました!結果としては神主から手渡しでいただくことができまして、無事CDをゲットすることができました!もちろん凋叶棕のスペースへも足を運び、新譜『△』も手に入れられましたよ!さらに差し入れをお渡してサプライズでお土産をいただくという貴重な体験もできました。RDさん、はーしぇんさん、ありがとうございました!

さて、開封の儀をしていこうと思います。

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裏面と帯確認!

裏面は普通?会場で帯の文字を見たときは流石に笑いました。あのルビは反則。

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外装をはがしてケースを開けま・・・あれ?

とりあえず例のコードはスルー。聴き終わってからにしましょう。

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CDを外します。おっSCPかな???

ドライブにセット。

全部で10曲!???

あれ?ケース裏には9曲しかなかったよね???公式サイトでも9曲だったはず。

ここで1曲目と10曲目のイントロを一瞬再生して構成を把握し、例のあれが1曲目だと断定。

適切に情報タグを書きこんで聴く準備を整えます。


◇楽曲の感想

ボーカル多めの全10曲だぜ!って魔理沙が言ってました。

凋叶棕がテーマ「サイエンス・フィクション」で秘封俱楽部を表現すること。それが一体何を意味しているのか。可能性世界の有り様に覚悟して挑みましょう。

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『神聖なるメッセージ』

我々とは違う知的生命体から届いた謎のメッセージってロマンがありますね。それが上位宇宙からのものと判明したならば人類社会が混乱するくらいには影響力がある気がします。最近のニュースだと、知的生命体が発したと思わしき謎の電波が宇宙から届いた出来事がありましたが、実は地球由来の電波を誤検知したものだったと判明したこともありました。あれは大人ながらちょっとワクワクしましたね。

知的生命体が地球にメッセージを伝えに来る話は既存のSF作品でもよく見られ、それが人類の成長を促すものであったり、人類を警告するものであったりと様々なパターンがあります。

しかし、今作『△』の場合は・・・。


U0001-9134845-120368896『世界秘封倶楽部化計画』

どうしてこうなった!!!!!!

うわぁ!もうどうしようもない世界にメッセージ届いちゃったよ!何がどうしようもないって多分ですが、この世界では全世界を巻き込む規模の戦争が起こってて誰が何のためにどういうきっかけで始まったのかすら分からなるほどに長期化してもはや収拾がつかないレベルになってそうで、国が人民の統率を取れていればまだしもイラストの雰囲気を見る限りでは管理勢力に対するレジスタンスも台頭している始末!もうめちゃめちゃ!要するに世紀末!

こんな救いようのない世界に3人の秘封俱楽部と名乗る知的生命体が「すくい」をもたらしてくれるというメッセージがレジスタンス側に届いちゃったみたいで、どうやらコイツ等は秘封俱楽部を別の宇宙に広めれば救ってもらえると解釈したようです。正に末法の世に表れた弥勒如来がごとく!急速に広まる秘封俱楽部崇拝!信仰は儚き人間の為にってか?

しかもコイツ等ときたら科学力も技術力も超高い!荒廃してる癖に使える全てのリソースつぎ込んで秘封俱楽部を下位宇宙・並行宇宙に広めるシステムまで作りやがるくらいにはやばい!まあでも現実でも世紀末に怯えた人類が大量のリソースつぎ込んで変なもの作っちゃうからね・・・。でも他の世界巻き込んでんじゃねぇーよ!!!どうしてこうなった!!!

という感じで、内容は凋叶棕史上最悪の極みなのですが、音楽と歌がすっごく良いんですよ!クラブミュージック系のアゲアゲ感が気持ちの良いアイドルソング、こういうのも素晴らしいですね!一定間隔で刻まれるシンセの音がアンテナから秘封俱楽部信号を送りだしているようなそんな感じがする。

あと、はなだひょうさんによる秘封俱楽部のアイドル衣装がえちちです。『神聖なるメッセージ』を画像変換したアルバムジャケットの3人がこのアイドル衣装になっちゃうわけですよ。本人達からしたら、たまったもんじゃありませんね・・・。ちなみに私はセンターのメリー推しです。

しかしながら、誰を推すかでまた戦争しませんかね?この世界の人類。


U7731-4848420-531087619『μετεωρο』

タイトルから予想通り隕石モノ!これもSF映画の定番って感じですね。しかし、落ちてくるのがただの隕石じゃないってのが個人的に気に入っていて、なんというかとても東方的な隕石なんですよ!

古代より星の海に思いを馳せ語り継がれる神話が、夜空を眺める人々が星に願う夢が、巨大隕石が地球を滅ぼすという終末論が、天に形相持たぬ理想郷「楽園」の幻を生む。しかし、真なる楽園に到達した秘封倶楽部は偽りの幻想の息の根を止めるべく夢と現を違え、かくして「楽園」は隕石として現の空に顕現する。

という感じだと私は解釈しました。夢を現に違えようとするメリーのせいで地球が滅びようとしている様子がこのユメカワなイラストなんじゃないかなって思っています!メリーはぽけーっとしながら気軽にこういうことヤりそう。気軽に墓荒らすし、そういうところが好き。やはりユメカワガールのメリー推し。

ピアノストリングスがマジで素晴らしい!!!今作全体的にピアノ好きにはたまらないです!『鳥船遺跡』の曲って雄大で力強いメロディーが魅力で個人的にかなり好きなんですけども、そういった雄大さが強く表れてるのも良いんですよね。最後の巨大な物体が迫り落ちてくる音も臨場感があって素敵です。

『μετεωρο』のめらみさんは低めで素敵カッコいいイケボ!『ゴーストリー・プラネット』や『まざりあうせかい』のめらみさんと同一人物に思えないですよね・・・。いつもみたいに複数のめらみさんが存在している?いやコンセプト的には並行世界のめらみさんがいるってコト?


U7731-0859484-708940566『シン・汎用合成クラスメイト:宇佐見227号』

タイトルからして某汎用人型決戦兵器の映画のオマージュかな?って思ってましたが、全く違う方向性でしたね。実に素晴らしいリメイクです。

リメイク元の『汎用合成クラスメイト:宇佐見5号』では宇佐見蓮子っぽい存在がいたはずなんですが、シンでは宇佐見菫子がいます。イントロの「月の妖鳥」はそのままのようですが。nayutaさんがボーカルに参加されていて歌詞も若干変更されていたのでなんとなく読めてはいたものの、イラストがもうド直球に合成的だったのでちょっと度肝を抜かれました。

この世界はSK-クラスシナリオ的な何かが起こって人間から機械へ支配権がシフトしちゃったんですかね?もしくは人間の脳や意識を機械の身体に移植完了した世界?明らかに異物の宇佐見を機械たちが取り除かない理由は機械たちはお互いのことを人間に見えるよう視界に見えた機械に生身の姿をオーバーレイしていて宇佐見の外見の異質さに気が付かないから?それとも機械たちが平穏を願う故?うーん謎が多い。

機械たちは変化のない平穏を願っているようで何も起こさないよう生産過程でそうプログラミングされているのかもしれないですね。そんな世界で異質な存在である宇佐見227号が出現したわけですが、誰が何の目的でこの宇佐見を誕生させたのかが謎です。例えば平穏を願っていない何者かがこの世界を壊すために作り出した可能性もありますね。秘封倶楽部はその異質さ故に滅びをもたらす・・・。

でもね、宇佐見とは言えど菫子の方なのがね。この娘ではこの世界の平穏を壊せそうになく、歌詞の通り「行く末が交わらない」ので世界など気にせず自分だけどっか行くだけだと思うんですよ。この宇佐見、失敗作なのでは?

まあでも、nayutaさんの宇佐見、可愛いのでね!「世界の何処か まっててよね!」のちょっと幼さを感じさせる抑揚が菫子らしくて可愛い。髪くるくる可愛い。たぶん凋叶棕で一番かわいい宇佐見。


U7731-3501638-728505941『夏の終わり/世界の終わり』

はなだひょうワールドの可能性世界に来てしまった。どろっと爽やかにきらきら滅びます。

2014年8月の終わり頃、twishortに公開されたはなだひょうさん作のSSが元になっています。秘封原作をオマージュした宇佐見蓮子のセリフ回しに、はなだひょうさん独自の感性がどろっと溶け込んだような名作SSです。「夏の終わり」のモチーフには人を切ない気持ちにさせたりノスタルジーに浸らせたりするイメージがありますが、夏の終わりは世界の終わりに似ているという。分かります。なんとなくですが。

紫咲ほたるさんの柔らかい歌声とはなだひょうさんの描く世界観がかなりマッチしています!特に「ああ夜が降りてくるよ」「私のメリー。」の歌い方には言語化できない程の良さがあります。世界が滅ぼうとしているのにものすごく癒し系の良さみ。

きらきらとしたピアノの音も心地よくて良いよね。ラメ入り瓶みたいにきらきらしてる。もうほんとに。きらきら。


U7731-6009709-714191416『Then Dead Laughs』

チェンソー!日本刀!ゾンビと戦う墓荒らし不良サークル!「デンデラ野」の語源って「Then Dead Laughs」が訛った結果ってマジですか?今作のギャグ枠ですね?

いわゆるゾンビ・アポカリプスですが、これってSFでいいんでしたっけ?ポスアポには変わりないのでSFで良いような気もします。バイオハザードによりゾンビウィルスに感染した人間たちがゾンビになったのか、秘封俱楽部の墓荒らしによって生と死の境界をあやふやにされた死者がゾンビに変貌したのかは気になりますね。秘封俱楽部は滅びをもたらす的な文脈が適用されるなら後者ってところですかね?秘封俱楽部は原作でも墓を荒らす不良サークルなので原作通りです。間違いない。

音楽ジャンルにはメタルなギターがギラギラで『△』の中では異色?チェンソーでゾンビをバッサバッサしたらメタルになるのも無理はない!コールアンドレスポンスの演出もあってライブ曲がまたまた増えましたね!デン・デ・ラー!アイドルゾンビ・・・ゾンビランドなんちゃら・・・。いやこの場合は観客がゾンビですね?

ところで超能力が使えるサイコゾンビって強そうですよね。まともに超能力使えるかは疑問ですが。

スピンオフ作品「サイコゾンビジョシコウセイ すみちゃん」・・・?


U7731-7059694-470256148『預言者メリー』

いやぁ!自らの愚かさで人類が滅びるのは愉快ですね!明日知れぬ我々のためにコトバを与えてくださる預言者さまを信じないなんて愚か!背信者は断頭台!もちろん人の悪意も預言するぞ!あそこで反乱がおきる!奴らを燃やせ!滅べ!全部滅べ!滅んだ・・・。

『預言者メリー』、性癖です。

おそらく最初は人間の高度な技術で作られた事象予知システムだったと思うのですが、「予言」ではなく「預言」であるのはM.A.R.Yが人々から信仰を得ていたと推測でき、人々にとっては神のような存在になっていたのだと思われます。噴火や地震といった自然災害、故障や整備ミスによる航空機や電車の事故、多くの人命に関わる事象を予知し的中させれば人々の心を掌握するのに時間はかからないでしょう。古代の巫女みたいなものですね。

M.A.R.Yは明日の天気や自然災害だけを予知するだけでなく、悪意も含む人間の感情を学習させれば犯罪、紛争、クーデタといった事象も預言できるのだと思います。信奉者はM.A.R.Yのコトバを聞き入れて、それらの原因となる人間を排除しようとし、もしかしたら流血沙汰になることもあったかもしれません。

そうして次第に、人の手で作られたシステムを一部の人間は信じきれなくなります。人類の未来を掌握されている状況に疑問を抱く者、自らの悲惨な運命を嘆きコトバを受け容れられない者、M.A.R.Yの預言のせいで殺された人々の遺族、M.A.R.Yによって定められた預言に歯向かう者が次第に表れ始めるでしょう。

歯向かう者が生まれ、それを排除する、また背信者たちが現れ、それを排除するを繰り返し、連鎖的に悲劇が起これば気づいた時には人類はもう積みです。恐ろしいですね。

預言者の名前が「M.A.R.Y」ってのが良いですね!聖母のことですよ、MARYって。凋叶棕はマエリベリー・ハーンを何だと思ってるんですかね???最高か?あと私が思うに、たぶんM.A.R.Y作ったの宇佐見なので宇佐見が全部悪いと思いますね!!!幸せにしてあげたかっただけなのに秘封倶楽部は滅びをもたらす・・・。

あと特筆すべきはnayutaプロがもう凄いのなんの!!!!!歌唱のレパートリーほんと凄い!SFで宗教でチルアウトでラップというマルチジャンルに相応しい難曲を歌いこなすのほんと凄い!もうさっきから凄いしか言ってない!(語彙力)


U7731-1152308-329305923『まざりあうせかい』

イラストのインパクト!初見で「うわっ」てなった。これどうやって描かれてるんですかね?マーブリング液に絵の具を垂らして紙を染めたものをデジタルに取り込んで編集?蓮メリ以外にもよく分からない何かが混ざりあっててもう何が何だか。

歌詞の「Z対領域の拡散(Z対domainのdiffusion?)」や「爪を剥き出しにして引き摺り出す」など単語選びが絶妙に神がかっているのも相まって脳内イメージがもうすごいことに。

秘封俱楽部が他者と自分を隔てる結界を暴いたために、夢も現もすべてが混ざりあった世界になってしまったんでしょうか?古くは諸星大二郎の『生物都市』、某汎用人型決戦兵器の人類補完計画のように、すべてが一体となっていく人類の滅びと新たなはじまりって印象です。最初の何かが割れる音はたぶん結界(膜壁?防壁?ATフィールド?)が割れた音なんじゃないかなと思います。

初見でのインパクトはアルバム内随一でした。いつものテーマから始まったと思ったらピシッと何かが割れてネクロが流れ加速したり減速したりと、まるで常識と非常識が完全に混ざり合う前の世界のような混沌。そんな混沌としたイントロがサビ前の「知り得ない 知り得ない あなたが」で声が重なり合った瞬間、秩序ある音楽になる演出は美しさすら感じさせます。

原曲が『夢と現の境界』と『禁忌の膜壁』っていうのも興味深く、決して暴いてはいけない境界を暴いてしまった文字通り禁忌感が強いです。幻想郷と現世を隔てる博麗大結界とは稗田曰く「常識の結界」であり、他者と自分を隔てる常識と非常識の境界もそれと似たようなもので他者の常識は幻想と等しいと。

めらみさんの歌声って「幻想」にすごく合ってますよね・・・。「夢へとなりましょう」・・・。美しい・・・。今作で一番好きなめらみさん。


U7731-5089040-147120258『ゴーストリー・プラネット』

この楽曲は『△』のコンセプトとして非常にアツいテーマです。ブレーンワールド。別の宇宙。エヴェレットの多世界解釈。今特に盛り上がっている科学分野の一つ、量子力学。微視的な世界でしか観測されないと思われた量子現象がもしプランク定数を越えて巨視的な世界でも起こりえたとすれば。

秘封倶楽部が何をしでかしたか分かりませんが、人と人とが量子的にゆらいだ不安定な世界になってしまったようです。メリーがひとたび蓮子の観測をやめてしまえば、蓮子はメリーとは別の可能性へとゆらぎ目の前から姿を消す。同じ惑星にいる筈なのに全ての人は交わらず、それぞれ別の世界を歩む孤独の世界。色分けされたそれぞれの世界を『シュレディンガーの化猫』は跨ぎ歩く。アルバム『△』における例の数値は可能性を示すものであり、もしかしたら『ゴーストリー・プラネット』で起こる可能性のゆらぎは別の並行宇宙にも干渉しているのかも・・・?

何度聴いても「声を聴いて!」で思わず涙腺が緩みます。なんてったって幽霊の歌声は世界秘封俱楽部化計画により別の並行宇宙にしっかり届いてしまったんですから。誰にも聞かれない、定まらないはずの誰とも知れぬ歌声を我々が観測したことで『ゴーストリー・プラネット』として定まったと。

アツい!アツいですよこの楽曲は!『△』の中に組み込まれた事に意味がある!アツさ故に一押しです!


U7731-ERROR!!『N/A』

はいダメ!意図的だからダメ!原曲酷似罪でタイーホする!!!なんでよりにもよってこれが出力されたんだ!さすがにライン越えだろ!「来るべき救済」を欲する姿を観測?それってつまり原作(に近い)世界が秘封倶楽部の手により滅ぶってコト???何勝手に滅ぼしてんだ!っすぞコラァー!

ってなりますよね???

まあでも実際、原作の延長線上で滅ぼしてますからね・・・『△』もそうだし、多くの二次創作作家たちもね・・・。そういう意味ではU7731の宇宙はあらゆる秘封倶楽部の二次創作の泡構造によってできているのかもしれない。『N/A』は原作に近すぎた故にERROR!!と出力されたとも思えます。

それはそれとして原曲でよくね???『N/A』が収録されてるせいでこのアルバムの最悪度が上がるんですけど!まあまあでも「サイエンス・フィクション」なんで!フィクションだからセーフ!


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◇好きなワンフレーズTOP5

聴いていてグッと来た部分を紹介します。

1位  夢でいましょう 幻想でいましょう

『まざりあうせかい』より。ここのめらみさんの歌声が大変美しい・・・。好き・・・。

2位  どれほど夢見た先に あまたの空想の果てに

『μετέωρο』より。これよこれ!って感じの『鳥船遺跡』感あるメロが素敵!

3位  声を聴いて!

『ゴーストリー・プラネット』より。「!」があるかどうかでどこのか分かりますね?

4位  ああ夜が降りてくるよ

『夏の終わり/世界の終わり』より。夏の暑さに溶けてまどろむような歌声が良い!どろどろっと夜の帳が降りる感じ!

5位 世界の何処か まっててよね

『シン・汎用合成クラスメイト:宇佐見227号』より。nayutaプロの表現力!最近の凋叶棕ワールドではIQが低い宇佐見菫子が主流になりつつありますね???

EX位 ”すくいと” ってもらえたら

『???』より。そこかぁ~~~!!!!ってなったところです。上位存在のなんと性の悪いことか・・・!ひどい!


◇まとまらないまとめ

今作『△』。とにかく完成度が高いです!!!

CDとして頒布することの意味がものすごくデカい!システムの説明書と出力結果のカード!ノイズで掠れたデータディスクのレーベル面!手に取ればわかるこのアブノーマルなオブジェクトの実在感!『△』のストーリーで重要な役目を持つアイテムが目の前にあるというリアリティ!

過去作の場合は「CD媒体に仕掛けを持たせるアルバム」が多かったですが、『△』はどちらかといえば「CDが目の前にあることに意味があるアルバム」なんですね。「プロジェクト・テトラ」が上位宇宙から伝わって今我々の目の前にある、と!

このシステムは誰によって何のために作られたのか?「プロジェクト・テトラ」とは何なのか?メッセージは何だったのか?その謎を紐解いていく楽しさを臨場感を伴って味わうことができます。フィクションでありながら「実在感」があるのです。コレが素晴らしい!

テーマ「サイエンス・フィクション」として。

そもそも「サイエンス・フィクション」の定義とはとても難しい命題であることは前提の上、『△』は文句なしにSFだと感じました!私が思うにSFジャンルを楽しむときって他の創作とは違う脳の使い方をする印象があるんですよ。

我々の世界にはない「未知の科学技術」「未知の法則」「未知の出来事」が描かれるためにそれらを解釈・理解する難易度が高くなり、さらに読み物の場合だと脳内に情景を描く等の想像力の面でも難易度が高くなることでしょう。この点は『△』にも通ずる部分があり、イラストがあるとはいえ「なぜこうなったのか」「何が起こっているか」を想像する際にはSF特有の脳の使い方をしないといけなかったです。それ故に人を選ぶアルバムだと私は思います。

しかし、SFはただ難しいだけじゃないんです。SFにはSFでしか味わえない素晴らしいものがあります。世界に隠された謎に対して己の好奇心を持って向き合い、世界をめぐる壮大なドラマの全容を理解した瞬間に得られる驚嘆の感情と神秘的な体験はSFジャンル特有で格別なものなのです。

今、我々の目の前にある『△』の謎を暴き、真相を知ること。その先に待つものが「最悪のドラマ」だったとしても「プロジェクト・テトラ」の全容を知ろうとした者の好奇心を揺さぶっていることに他なりません。例えば、私が『ゴーストリー・プラネット』において「幽霊の歌声」の数奇なドラマを幻視したときに感じた「アツさ」はおそらくアイザック・アシモフの述べた「センス・オブ・ワンダー」に近い感覚だったんじゃないかなと今ならそう思うわけです。

目の前にアイテムがあるというCD媒体故の実在感。

テーマ「サイエンス・フィクション」独自の体験。

想像力を掻き立てる凋叶棕らしいストーリーテリング構成。

それぞれの要素がうまく噛み合わさった『△』は完成度の高い作品だったなと私は感じました!

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以上が『△』の感想でした!SFのこと良く知らないのに適当なこと言ってほんと申し訳ないです!SF有識者さんは生暖かい目で見ていただければなと思います!

今回のお気に入りは・・・。

うーん。かなり悩む。正直に言ってどれも良いし、どれも別ベクトルで好きなんですよね・・・。ということで全部お気に入りですね!!!

いや、待て!『N/A』は座ってろ!しかし似ているが故に否定しにくい!ズルい!

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P.S.

しかし、この「プロジェクト・テトラ」のデータディスクが我々の宇宙に存在しているということは我々も上位宇宙と同じように滅びるのではなかろうか。もう既にこの宇宙には上海アリス幻樂団の創作物として秘封俱楽部が出現してしまっている。今手元にあるデータディスクはあくまで複製品であり、複製品故に異常性が発生しない代物なのかもしれない。だが、それでもオリジナルのデータディスクがU7731レイヤーの宇宙の何処かにあることは確実なのだろう。

いや、ERROR!!が発生して異常性が喪失した可能性も考えられる。二次創作と原作による可能性宇宙のループ構造が完成したことにより予期せぬエラーが発生し、本来引き起こされるはずのアポカリプス・イベントを回避できたのかもしれない。

「サイエンス・フィクション」とは虚構である。フィクションをテーマとされたが故に、やはり異常性は喪失しているのだろう。

この宇宙は滅ばない。

だから安心して秘封俱楽部を広めよう。我らが救世主!秘封俱楽部を!

秘封俱楽部を広めましょう!

秘封俱楽部を広めましょう!

秘封俱楽部を広めましょう!

【C99】RDWL-0033『△』感想」への2件のフィードバック

  1. RDさんのツイートより、初の漢字じゃないアルバムということで伝以来に購入。
    想像以上に楽しめて原点にたどり着けた際には思わずアルバム持って深夜にはしゃいでしまいました。
    その後このサイトにたどり着いたのですが、自分では考えつけてなかったことを色々考察されていて、
    とても楽しく読ませていただきました。
    ありがとうございます!

    いいね: 1人

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