【例大祭17】RDWL-0031『蒐』感想

蒐める楽しさ

例大祭17に頒布予定だった凋叶棕の新譜『蒐』の感想となります。あくまで感想なので「感想なんだなー」って思ってください。よろしくお願いします。

入手先はメロンブックス↓
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=640520

この記事には容赦ないネタバレが含まれます。まだ聴いてない方は蒐めてから閲覧ください。


◇「あつめること」

アルバム『蒐』のテーマはその名の通り「蒐集」。東方ファンが ”蒐” という漢字を見て最初に思い浮かぶキャラクター第1位って霧雨魔理沙(私調べ)なわけですから、霧雨魔理沙がジャケットにいるのはよぉく分かります。

でも、東方アレンジが収録されたアルバムのテーマが「蒐集」って、どうなるかというと。

1曲目:霧雨魔理沙、2曲目:森近霖之助、3曲目:霧雨魔理沙、4曲目:アリス・マーガトロイド、5曲目:本居小鈴、6曲目:霧雨魔理沙ってな具合で、魔理霖マリアリスコスズチャンス魔理沙みたいになると思うんですよ???

・・・・・・はい?違う?そうではない。

アルバム『蒐』は幻想郷に住む蒐集家たちの曲をあつめたわけではなく、凋叶棕が今まで頒布したアルバムの没曲をあつめたアルバムなんですって!

『謡』、『求』、『掲』、『娶』、『奏』、『彁』。

初期作から最新作までのアルバムに様々な事情で収録されなかった没曲を1曲ずつ蒐められています。

つまり!

このアルバムは凋叶棕の魅力をコンパクトに取り揃えたミニアルバムと言えるのではないでしょうか?

atsumebig

凋叶棕のアルバムとしては結構特殊で「作風に統一感がない事がむしろコンセプトになっている」といった印象を受けます。

凋叶棕のアルバムはどれも個性が強く、楽曲の雰囲気もアルバムのテーマに大きく左右されるので、それぞれから1曲となるとアルバム全体のコンセプトが纏まらなさそうですが、テーマが「蒐集」なだけあって「バラバラなものをあつめている事」に意義を感じます。

霧雨魔理沙のお部屋のようにジャケットイラストのように取っ散らかっててもテーマ「蒐集」なので、むしろコンセプト通りなんですね!バラバラだからこそ凋叶棕の魅力的な要素が詰まっていて初心者向けとしても良い感じではないでしょうか。

お菓子で例えるとチョコアソート、酒で例えると日本酒飲み比べセットみたいなもので、いろいろなテーマ性を持つ楽曲が味わえるって魅力的だと思いませんか?

初心者だけでなく、凋叶棕フリークにも嬉しい要素がありまして、やはり没曲だからこそロマンがあるというか、想像力が刺激されるというか。ほら、ゲームのサントラって未使用曲や没曲が収録される事ってあるじゃないですか。そういった没曲がゲームのどこの場面で使われる予定だったかとか、なぜ没にしたかとか、いろいろ想像しますよね?

『蒐』にもそういった没曲ゆえの面白みがあって、初心者・玄人問わず楽しめるアルバムなんじゃないかなって思います。


◇メロンで入手しよう

2020年春。残念ながら諸事情により第17回春季博麗神社例大祭が延期となりましたが、RDさんのご厚意により『蒐』はメロンブックスへの先行委託という事になりました。

なので、私は予防行動きっちりした上でメロンブックスへダッシュして手に入れてきました。先行委託、とてもありがたいです・・・!!

ジャケットの霧雨魔理沙かわいいですね?特にいたいけな少女のドロワーズや靴底が大好物の方はジャケット買い待ったなしですね???

ジャケットの見どころは霧雨魔理沙だけではなく、凋叶棕の小ネタが満載なところもすごい。詳しくは省きますが、凋叶棕が今まで頒布したあの名盤から名前を言ってはいけないあのアルバムまでほぼすべてのネタがあつまっています。凋叶棕のアルバムを何枚か持ってるって人なら「おっ」となる部分ですね。

あと、指ね。指。なにこれ?

ケースの裏側からはCDが見えます。『趣』や『彩』と同じ形式のミニアルバムですね。

盤面は・・・。なるほど。

これはちょっと、自分で並べてみた写真があるので後ほど紹介します。

今回は特に問題ないかなーって勘でそう思ったので、いきなりケースを開けちゃいます。

うん?なんだその目は!

取り出して広げてみると。コレクトしてますね霧雨魔理沙。メタだ・・・。

じゃあ取り込んで聴いていきましょう。

全部で8曲!


楽曲の感想

霧雨魔理沙から聞いた話によると、全部で8曲収録されているらしいです。収録予定だったアルバムの名残を感じられるようなアレンジ、とてもバリエーション豊かです。
(それにしても没曲と言いながら各楽曲の完成度高くありませんか?)

M01. コレクターズ・サーガ

オープニング担当のインストアレンジ。『薦』や『改』のような特殊案件アルバムもインストから始まっていましたね。最初と最後の楽曲はまとめ役を担うこと多し!

カジュアル目な『恋色マスタースパーク』。あと『オリエンタルダークフライト』っぽいメロも一瞬聞こえますので霧雨魔理沙イメージのアレンジ?というよりも『蒐』自体をイメージしている感じもします。

今回の霧雨魔理沙はテーマ「蒐集」の記号を背負っているようなので『蒐』のオープニングとして『恋色マスタースパーク』のアレンジを持ってきたのでしょうか。まぁ『蒐』は過去のアルバムからの収録がメインなので、『蒐』自体が持つ特色が表れているアレンジと言える?『謡』、『求』、『掲』、『娶』、『奏』、『彁』のどれでもない雰囲気を持ったインストだと思います。今までにない雰囲気という意味では新鮮なアレンジです。


M02. 月の歌

めらみぽっぷさんの歌い方が渋かっこいい!!!口ひげを携えたおじ様か、凛々しい日本男児かってくらいの声をお出しされる・・・。普段とは違った歌声に少しドキッとしてしまいますね。まあ渋くてもロリコンなんですけども・・・。

ルーミア女房、即ちアウトでは?(妖怪なのでセーフ!)

アルバム『娶』は人間と妖怪の様々な関係性(愛のカタチ)を物語音楽として表現されていて、この『月の歌』もしっかり物語音楽しております。それに人間側と妖怪側のどちらか一方が一人称になっているのも『娶』の特徴と思っているのでそういう部分でも『娶』っぽさがあります。

でも、なんで没になったんでしょう?捕食枠被りってわけでもなさそうだし・・・。うーん、原因は緋色の装束麗しい霊夢ちゃんにあるのかも?博麗の巫女に逢瀬がバレてしまったら『娶』M01の最悪感が薄れる気もするので没になった・・・?そもそも霊夢ちゃんが人の逢瀬を見てどんな反応するかというのは鈴奈庵第十六話で(この話は長くなるので省略しますが、話を圧縮すると「れいむちゃんかわいい」になります)

ルーミアの髪が月っぽく見えるのが物語として重要なコンテクストですね。なんせタイトルが『月の歌』ですからね・・・!ルーミアが隣に居ればどんな夜も「月の無い夜」になる。もしかしたら昼でさえも。終わらない夜の夜行。歌おうか月の歌。

この男、絶対ロマンティストだ・・・!


M03. 夜聞聞

私は夜にあなたを聞くのです。けして触れられないあなたを。

虎の穴コンピ(UROBOROS業)に収録された後に『伝』へ再録された『夜聞』というボーカルアレンジがありまして、そのタイトルから関連性が察せられます。しかし、『夜聞』はボーカルアレンジながらコンテクストが高く、『夜聞聞』との関連性を頭で考えるのはなかなか難しいと思いますね。よくわかんないやって人は「Don’t think, feel.」のノリでいきましょう。

『夜聞聞』が収録予定だったアルバムは『彁』。実はUROBOROS業にて「fairy tail」と呼ばれるライナーノーツが書かれておりまして、これ読むとものすごく『彁』成分を感じられるかと思います。UROBOROS業を持っていれば読み返してみるのもいいと思います。何となくですが『夜聞』は幻想少女全体を語っていて『伝』のブックレットでは幻想少女の代表として「こちらではなく月の方を向いた霊夢」なのかなと思っています。没曲になった理由は『 /彁』という強烈なのと比べると『夜聞聞』はやや被ってて控えめすぎるとかそういう・・・?うーん何となくですが。

メロディーラインは素直に『夜聞』ですが、音作りは様変わりしています。特に弦の音、とても良い・・・。聴いていても疲れないので在宅勤務のお供にしています。


M04. 溺符「夜光虫の唄」

耐久スペルっぽさ、ありませんか?水底から響くような音に息苦しさみたいなものが伝わってきます。和風カッコいい『キャプテン・ムラサ』もなかなかに新鮮。

アルバム『掲』は「スペルカード」をテーマにしていて、楽曲はそれぞれある特定キャラのスペルカードをイメージしたアレンジになっていて、キャラは紅~紺までの整数ナンバーの中からそれぞれ一人選出されていました。溺符は村紗水蜜のスペルカードをイメージしているという事で、もし没でなかったら星蓮船枠になっていたと思われます。ちなみに採用されたのはぬえちゃんでした。没の理由は星枠がインストだとブックレットのカードが9枚じゃなくなってしまうから?まあでも原曲成分が分かりやすくて『掲』らしさはあるような気はします。

村紗水蜜は耐久スペルのイメージがありますよね。ほら、あれ、シンカーゴーストですよ。4面ボスがまさか耐久使ってくるとは思いもよらないサプライズでしたよね。とは言っても幻想風靡も耐久だったか。

船幽霊に夜光虫が漂う海中へ沈められる様を想像すると確かに奇麗な弾幕ですね。されている行為そのものは恐ろしいのですけども。楽曲の最後の音が霊的存在の断末魔みたいに聴こえて恐ろしくもどこか哀しくもあるような気持ちになります。


M05. 目覚めの花

2:26からのつぼみが花開くかのような曲展開が美しく素晴らしい。春に目覚める本能の存在。

『天空の花の都』アレンジですが、言われないと原曲あてられる自信がないですね・・・。言われてみたら『天空の花の都』の名残があるようなないような・・・。目覚める前だから原曲成分淡いのかもしれませんが・・・。

『求』は「本能」をテーマにしたアルバムで原作STGの1面~3面ボスのキャラクターをイメージしたアレンジが収録されていました。『求』は分かりやすい楽曲が多い印象がありますので、『天空の花の都』が原曲なのでそのままリリー・ホワイトをイメージしているとしても良いでしょう。没な理由はリリーは妖々夢4面の中ボスであり1面~3面のボスに含まれないからとか・・・?天空璋では晴れて3面中ボスになりましたが『求』の頃はまだ天空璋は出てなかったですね。

タイトルである『目覚めの花』は何を指すのでしょうか。春の訪れを感じ取り目覚めようとしている春告精か、それとも春告精によって目覚めようとしている生き物たちか。リリーの持つ「本能」を思うと前者のような気もしますが・・・。


M06. サプライジング・エンカウンター

この一発ネタ感。ある意味、没曲っぽさあるというか。タイトルと試聴でオチが何となく読めるので『奏』っぽさもありますね。

『屠』でも行けそうだけど怖さが足りないですね・・・。まあ、ルナチャだし・・・。一人で夜出歩く方が悪いし・・・。ドジだし・・・。でも、そこがかわいい。

なぜ没なのかは謝罪案件もあるかもしれないですが、『奏』で音を消すというのは反則な気もしないでもないです。あと、妖精被りでもありますね。

あっちなみに『夜だから眠れない』、三月精関連の原曲の中では一番好きです。


M07. the Four Little Adventurers

『Romantic Children』良すぎる!私が心を掴まれた旧作曲の内の一つですし、正統派アレンジって感じでもう堪らないですね!!!THE アリスミュージック!

『謡』の没曲ってもう10年も前なのにそういうの残ってるものなんですね・・・。一言だけの怪文書って可能性もありますが、それでも時の経過を感じてしまいます。『謡』ブックレットの阿求の本棚に『鏡の国のアリス』があるのは没案の名残・・・?

『謡』のテーマは『物語』です。原曲『Romantic Children』は魔界をイメージして制作されているらしいので魔界の物語なのでしょうね。タイトルから察するに東方怪綺談をイメージしている・・・?本で言えば異世界ファンタジーモノの児童書ってイメージが湧きます。ロマチルから漂うジュブナイルっぽさ、感じませんか?

なぜ没になったかは、なんでしょうね?原曲が幺樂だから?おそらく幺樂団の歴史のサブタイトルを思い出すとその答えになるのかもしれませんね。

ちなみに『蒐』の中で一番のお気に入りです。

「好きな原曲」×「正統派アレンジ」×「凋叶棕」=My favorite piece!


M08. コレクターズ・ハイ

まりちゃんかわ。やはり凋叶棕における霧雨魔理沙は癒し枠ですね。めらみぽっぷさんかわいい枠でもあります。

最近、霧雨魔理沙について沢山調べたので霧雨魔理沙知識が溜まっている状態で聴くと「てめぇコノヤロー」って感じもしますね。何故蒐めるのか、それは蒐める事が目的なんだぜっていうのは香霖堂の発言からして凄く霧雨魔理沙なんですけども、てぃあお的メタな視点(?)で考えると蒐めるだけで済ませんなや!って思うし、「拾い物は貰い物なんだぜ!」からのメロン万引きタイーホまりちゃんかわ・・・(???

まぁ私も部屋が霧雨魔理沙でダンボールの底に宝物を眠らせているので霧雨魔理沙の事悪く言えないのですけども・・・。うぅ・・・すまぬ・・・。一応、凋叶棕のCDはすぐ出せる位置には置いてあるので・・・。あと「生きてる間のことだから」って死んだ後はコレクションどうしようね・・・。明るい楽曲なのになぜか暗くなってしまいますね・・・。

うぎぎ、ダメだ!『コレクターズ・ハイ』がメタとしてしか見れなくなっている・・・!蒐める事は始まりにして終わらないんだよなぁ・・・。だってあのブックレットだとメタになってしまうでしょう?

そういう事で、かくいう私もコレクターズです!はい!


◇まとまらないまとめ

過去作品の没案・没曲をブラッシュアップした楽曲があつめらたコンセプト、なかなか特殊なアルバムだと思います。なんとなく『改』に近い分類になりそうではありますが、『改』は既存曲のリアレンジ、『蒐』は既存アルバムの没曲とコンセプトとしては全く別になりますね。前述したように「没曲のロマン」というのが実に面白いアルバムでした。

そういう意味では過去作を知っている上級者向けでもあるのですが、過去作のミニカタログのようになっているので初心者向けでもあると思います。過去のアルバムの特色を知れる良い機会にもなるのかなーと。なんだか『謡』、『求』、『掲』、『娶』、『奏』、『彁』はどれも凋叶棕入門に向いていておすすめしやすい気がしてきました!(『彁』は誰にも向かないけど準新作なのでおすすめできるという幻想)

そして、偶然ですごいなーと思っているのが『蒐』を頒布するタイミングですね。『蒐』で過去作を知って凋叶棕のアルバムもっと欲しいなーって思った方もいるのではないでしょうか。

なんと偶然にも2019年の年末頃にRDさんのご厚意により大規模な再販がされております!!大変ありがたいことです!!

つまり、蒐めるチャンスですよね!!!!!偶然の再販!!!!!

順番合ってるよね・・・?
RDWL蒐めて並べてみた

今ならメロンブックスでほとんどのアルバムが手に入ります!蒐めるなら今しかない!

凋叶棕はメロンブックス専売!:
https://www.melonbooks.co.jp/circle/index.php?circle_id=20754

(あと、凋叶棕×ホシニセの『眇』もね?)

でも、蒐めるのはいいけど、霧雨魔理沙みたいにコレクションを眠らせないようにしましょうね?(ちゃんと聴こう!)

以上、RDWL-0031『蒐』の感想となります。今作で特にお気に入りは『月の歌』『夜聞聞』『目覚めの花』『the Four Little Adventurers』です!

博麗神社うた祭りでの国内初ライブ、キャノンボールやスペルバブルへの楽曲提供などのご活躍もあり、新規の凋叶棕ファンの方が増えているんじゃないかなーって思います。『蒐』は凋叶棕への入門にも手軽で適している感じもあるので最近ファンになった方は是非手に取って、そして蒐めて欲しいですね!

って、気付いたら感想記事なのにめっちゃ宣伝というかマーケティングしてますね・・・。いや感想記事ってそういう目的でもあるのか・・・?私としてはそういうつもりはないのですけども・・・!むいしきってこわいね!

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