紅魔「Un-demystified Fantasy」

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Featured in: 奉(謡)
track: 2(5)
arrangement: RD-Sounds
lyrics: RD-Sounds
vocals: めらみぽっぷ
original title1: Demystify Feast
original title2:二色蓮花蝶 ~ Red and White
length: 05:32(5:22)


◇概要

元々は『謡』収録のトラック5『Un-demystified Fantasy』として収録されていた物語だったが、後に『奉』の紅魔郷枠として採用された楽曲。『物語』の側面と『原作ゲーム』の側面を合わせ持ち、2002年に頒布されたwin版最初の原作『東方紅魔郷』のストーリーを準えた楽曲となっている。

命名決闘法が最初に採用された異変である紅霧異変。「鐘の音色」は新たな時代の始まりを告げているのだろうか。或いは少女へ祈祷の刻を告げる鐘とも考えられるだろうか。

主人公『博麗霊夢』は紅霧異変の主犯を目指し、立ち塞がる従者を圧倒しながら勘を頼りに突き進む。

異変は今終幕へ・・・!
FINAL STAGE エリュシオンに血の雨

『奉』にも収録されている楽曲ということもあり、語る上では”考察をする”というよりかは“小ネタを拾う”というが中心となる。

この記事では、小ネタだけでなく抽象度高めの話を中心にしていければと思う。


◇原曲のイメージ

この楽曲は『Demystify Feast』と『二色蓮花蝶 ~Red and White』を原曲としているが、双方の原曲共に『東方紅魔郷』に登場する原曲ではない。

『二色蓮花蝶 ~Red and White』は『東方紅魔郷』と頒布時期が近い『蓬莱人形』に収録されているため、当時の博麗霊夢のテーマとするのもなんとなく分かる。

『瞬殺サレ道』より頒布された作品『秋霜玉』ではエキストラボス博麗霊夢のテーマとして『二色蓮花蝶 ~Ancients』が収録されている。『Un-demystified Fantasy』の原曲はあくまで『二色蓮花蝶 ~Red and White』である事から、この楽曲を語る上で”Red and White”の方に触れるのがより適切ではあるが、ZUN氏による”Ancients”へのコメントを以下に引用および抜粋する。

秋霜玉より、博麗 霊夢のテーマ【 二色蓮花蝶 ~ Ancients 】です。

エキストラ曲作成開始時に真っ先に、霊夢は巫女さんっぽくない曲しかあり得ないと思っていたのですが、よくよく考えれば、それはこういう曲が巫女さんらしいと私が思っているにすぎないんですね(^^;
巫女さんとは思えない曲にみえて、実は巫女さんらしいのです。
って言い切ってもなんだが…(^^;

『東方幻想的音楽』  『二色蓮花蝶 〜Ancients』 ssg_18.TXTより引用

巫女さんらしからぬ激しい曲調だが、ある意味ZUN氏にとっての巫女『霊夢』らしさもある、という事だろうか。異変解決モードの霊夢を描写した『Un-demystified Fantasy』の原曲として、『二色蓮花蝶』の激しい曲調はとてもマッチしているように思う。

凋叶棕の『二色蓮花蝶』アレンジは他にも『二色蝶』や『emergence』もあるが、妖怪と対峙する霊夢という点ではイメージ的に近いものがある。(※『二色蝶』は”Ancients”)

もうひとつ、『Demystify Fantasy』は弾幕アクションゲーム『東方萃夢想』および『大空魔術』に収録されたものである。

実際は「妖霧」というセリフからDemystify
霊夢ストーリー 2nd Day 25:00

『東方萃夢想』ではレミリア・スカーレットとの対決の際に流れることが多い『Demystify Feast』。実際、博麗霊夢のストーリーStage 5『Masquerade 紅霧再び……Devil May Care』にて流れることもあり、博麗霊夢とレミリア・スカーレットが対峙する場面の選曲として相応しさを感じられる。

RDさん曰く、『Demystify Feast』にはレミリアのテーマのイメージがあるという(凋叶棕運営記参照)。萃夢想初プレイの人が霊夢ストーリーを選んだ場合、対レミリア戦で初めて『Demystify Feast』を聴くことになるため、レミリアのイメージが深くなるのかもしれない。

また、大空魔術版のアウトロ部分がリスペクトされている点、「神秘のヴェール」というワードから萃夢想版の要素だけではないことが読み取れる。大空魔術版の『Demystify Feast』は萃夢想版と比べると、使用されているフレーズに大きな変化はないが若干曲の構成が違ってくる。

まとめると、原曲『Demystify Fantasy』は大空魔術版の要素も拾い上げながら萃夢想版の霊夢vsレミリアのイメージを紅霧異変のクライマックスに重ねている、といった感じか?そして、原曲『二色蓮花蝶 ~Red and White』はエキストラボスのBGMに起用されるくらいの激しく無慈悲な曲調が異変解決モードの博麗霊夢のイメージと合致しているためか?

『少女綺想曲 〜 Dream Battle』の場合、確かにピアノが激しく無慈悲だが、その激しさよりも少女さと美しさが勝っている、というのが私のイメージ。”Dream”で”少女”な霊夢ちゃん。


◇神秘のヴェールを暴け!

この項では『Un-Demystified Fantasy』の歌詞「神秘のヴェールを暴け」に着目しながら、東方におけるストーリーへの抽象的な私の解釈を書く。

「神秘のヴェールを暴け」という歌詞は大空魔術版『Demystify Feast』の副題「神秘性のベールの向こう側」から得られた発想と思われるが、この「神秘のヴェール」は東方Project全体に共通するストーリーの概念だと、私は考えている。多少伝わりにくいと思うが、以下にそれを説明したいと思う。

東方Projectのストーリーは幻想郷に異変が発生し、それを巫女が解決するというのが基本である。異変が発生しなければ、空飛ぶ巫女が不思議な毎日をのんびりと過ごすだけで終わるほのぼのストーリーでしかない。霊夢ちゃんのほのぼのなストーリーは書籍に収録されている場合が多く、原作STGのストーリーは以下に示す流れになっているはず。

①何者かによって異変発生 → 

②主人公らが異変に気付く →

③主人公らが黒幕を目指して動きだす →

④黒幕の元に辿り着き、異変を解決する

例えば、東方紅魔郷では「紅い霧が発生→レイマリが気付く→湖の方が怪しい→館に辿り着き黒幕レミリアを退治する」という流れである。東方紺珠伝や東方花映塚など、異変の黒幕=ラスボスとは言い切れない場合でも、まず最初に異変が発生していて、それを解決するために主人公が動くは共通するだろう。

そう、必ず最初に異変が発生するのだ。

つまり、何が言いたいかというと、東方におけるストーリーの性質は推理小説やサスペンスドラマのそれに近く、東方では”異変”という事件が前段としてあり、主人公がその犯人を追い詰めて解決(Demystify)する、ということだ。”妖怪退治”という話の性質上、妖怪の手によって引き起こされた不可思議な事象”異変”が話の前段としてあるため、こういったストーリー展開になるのも頷ける。

「神秘のヴェールを暴け」というキーワードは謎に包まれた異変を解決するというまさに東方Projectのストーリーを体現しているように思えるのだ。


◇博麗霊夢は謎解きが好き?

博麗霊夢について、よく分からない話を少し語る。

『Un-Demystified Fantasy』の主観は異変解決モードの博麗霊夢である。「神秘のヴェールを暴け」という歌詞は、幻想郷の秩序を乱す異変に対する霊夢の心の叫びなのだろう。

博麗霊夢は異変を解決する生き物である

東方紅魔郷 EXTRA STAGEでは”パターン作りごっこ”が得意とフランドールへ豪語している。これはメタい発言ではあるのだが、ある意味『博麗霊夢』の本質を捉えているように思えるのだ。

このゲームは、巫女さんとその他が活躍する、21世紀の20世紀弾幕STGです
見た目にもの凄い弾幕なのに、絶対に避けられる様に計算されているSTGを作りたいと思い、作りました。

『東方紅魔郷の公式ページ』より引用

東方Projectの弾幕は、上の引用に示す通り、一見難しく感じるのだがタネが割れてしまえば比較的簡単に避けられる弾幕で設計されている節がある。レッドマジックのように気合い避けでしか対処できない弾幕もあるが、パターンがない故に”Un-demystify”といえるのだろうか。

”パターン作りごっこ”とはすなわち、弾幕の謎を解くことなのだ。東方鈴奈庵では探偵の恰好をしていたり、アガサクリスQの推理小説を読みふけっていたり、もしかして博麗霊夢は謎を解くのがお好きなのでは?

確かに異変の謎を推理するのはとても楽しいものがある。東方のファンである私は、東方の新作ジャケットが公開されたときに分かる異変の黒幕と思わしきキャラクターのシルエットからどんなキャラクターが黒幕でどんなストーリーなのか、幻想(Fantasy)を解明(Demystify)しようと予想し思い馳せる時間がとても楽しく、ファンとしての充実感を強く感じるのである。

「神秘のヴェール」とはジャケットに描かれたキャラクターを隠すシルエットそのもの、という見方もできそうだ。

(えっでも紅魔郷のジャケットはフランちゃんじゃね・・・?UN-Demystify Fantasyはフランちゃんなのかー?)


◇ブックレット

『謡』のブックレットは、鬼の形相の博麗霊夢が札を展開し、レミリア・スカーレットは蝙蝠に変化。紅い月をバックに天罰「スターオブダビデ」が展開されている。

右ページのイラストはレミリアの通常4弾幕を封魔陣で凌いでいるイメージなのだろうか。左ページの背景の月は、正に紅魔郷レミリア戦の背景そのものだ。『Un-demystified Fantasy』はこの霊夢の表情から因んで”ぶちぎれいむ”とファンの間では呼ばれている。

『奉』のブックレットでは、歌詞にも登場する紅美鈴、パチュリー・ノーレッジ、十六夜咲夜が描かれている。『謡』では霊夢メインのブックレットだったが、こちらは紅魔館側が主役のように見える。霊夢の服装が紅魔郷のものになっている、十六夜咲夜の左袖に”Red Magic”と書かれているなど、なかなかの原作再現っぷり。あとパチュリーが縦縞ではなく、ちゃんと皺なのもポイントか。

紅魔「Un-demystified Fantasy」のフォントは「DF クラフト童 W3」で東方紅魔郷のタイトルロゴのフォントと同じものとなる。

『謡』の方のイラストは『綜纏Vol.1』、『奉』の方は『綜纏Vol.3 三怪奇』にそれぞれ収録。スターオブダビデではなく、獄符「千本の針の山」バージョンを見られるのは『綜纏Vol.1』だけ!


◇雑記

紅美鈴「くそ、背水の陣だ!」
博麗霊夢「あんた一人で『陣』なのか?」

-『東方紅魔郷』Stage3 会話文より引用

この楽曲を語る上で『東方紅魔郷』のプレイは欠かせない。上記のセリフは筆者が好きな紅魔郷のセリフである。この楽曲の「退く事もできない哀れな虹の欠片」という歌詞を聴き、上記のセリフが思わず頭に浮かんだ人もいることだろう。

「導かれるように上へ、上へと」を聴けば6面道中のスクロールする館の壁が、「すべてたたき落とす」と聴けば獄符「千本の針の山」の弾幕を画面上に貯めてからボムを使用したときの快感が思い浮かんでしまう。

他にも、さまざま原作由来の小ネタが含まれるのだが、やはりこれだ。

原作愛。

アルバム『謡』で凋叶棕を知った私は『Un-demystified Fantasy』を聴き、これほどまでに原作愛に溢れた楽曲があるのかと当時とても感銘を受けたのだ。

東方紅魔郷のBGMを原曲としていないにも関わらず原作ファンの心を掴めたのは、原作のストーリーを準えるだけでなく、原作をプレイしていないと気が付かない細かい要素を取り込んでいる点にあるのだろう。

原作を再現するのではなく原作に記された蓋然性を祀り上げた創作的な作品も凋叶棕には多くあるのだが、我々オタクは愛に溢れた原作再現に弱い生き物なので、こういった嗜好のものがたまに来ると悶えて灰になるのです。

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