ALIVE←/→DEAD

dead_or_alive


Featured in: 騙
track: 9 & 11
arrangement: RD-Sounds
original title: プレイヤーズスコア
length: 1:41 & 2:15


◇概要

RDWL-0009『騙』収録のトラック9『ALIVE←』とトラック11『→DEAD』。互いに同じ『プレイヤーズスコア』のアレンジでありながらも、対立的なタイトルと対比的な編曲方針を持つ、2曲セットのインスト楽曲となる。

この2曲はトラック10『貴女を幸せにするために』を挟む形で並べられている。『貴女を幸せにするために』の歌詞カードの両端を見てもらいたい。左端には人里の絵を背景に”ALIVE”の文字が、右端には竹林の絵を背景に”DEAD”の文字が浮かび上がっており、真ん中に因幡てゐが座し、己の掌で左右2つの方向を指し示している。

『貴女を幸せにするために』を主軸にした上で『ALIVE←』と『→DEAD』を聴くと、双方がプレイヤーズスコアを原曲としているのは『貴女を幸せにするために』のモブ女には進むべき道など無いを表していて、双方の編曲の違いは『ALIVE←』を選び前向きに進む明るい気持ち『→DEAD』を選び後ろ向きに戻る暗い気持ちを表しているように思えるだろう。

タイトルの矢印が指し示す方向の先に行けば、それぞれ生と死が待つのであろうか。

否、そんな単純なはずはない。なぜならば『騙』は嘘つきのアルバムなのだから。

この記事では、『貴方を幸せにするために』の内容そのものは置いといて、インスト楽曲『ALIVE←』と『→DEAD』を主軸に捉えた場合に見えてくる『騙』のアルバム構造の解釈を騙って語っていきたい。


◇『→DEAD』の先に訪れる末路

戻るなら、右を見よ。
あの暮らしに甘んじて、戻りたいならば止めはしない。
今までの暮らしが何も変わらずお前を待つだろう。

『→DEAD』の矢印の先には何が待つのだろうか。偽サイトとインレイで確認できる偽タイトルは『コインいっこ入れなかったほう』なので、やはりゲームオーバーなのか?

『→DEAD』の先にある楽曲はトラック12『(I’m gonna eat you up!)』、夜に出歩く人間の娘の振りをしたルーミアに騙されて食べられてしまう、といった内容だ。ルーミアに騙す意思があったのかどうかは不明だが、矢印の先に”DEAD”があるというのは確かなようだ。

ルーミアを信じて食べられる、これは正直者の死ならぬ『信じる者の死』といえよう。

だが、『騙』の物語はまだ終わらない。

その先には13.『Fragile Idol-Worship』、14.『空中要塞「聖輦船」2F外側外壁のテーマ』、15.『嘘のすゝめ』の3曲がある。

『Fragile Idol-Worship』は人間に偽りの笑顔を振りまく毘沙門天代理様だ。あの方のためにと口を噤み、自らの感情に嘘をつき、明日へ進もうとするその様は、嘘を是とする考え方の表れに思える。

『嘘のすゝめ』はそのタイトルの通り、嘘をついて幸せになろうという嘘つき教の極みともいえる考え方だ。

しかも、この嘘つき教の霊夢ちゃんは先程の毘沙門天代理様よりも質が悪く、なんと魔理沙の弱った心に付け入り「嘘をつく事で幸せになりましょう」と宣って嘘つき教に勧誘してくるのだ!勧誘の結果は大成功、魔理沙は立派な嘘つきになりましたとさ。全くとんでもない嘘つき巫女だな!

つまり、何が言いたいのか。

『→DEAD』の先にある『(I’m gonna eat you up!)』で信じる者は死に、残ったのは嘘をつく事を良しとする生粋の嘘つきが残ったということだ。

わたしたちが歩いていくこの道が、
歪みきってたとしても、進むしかないなら。

嘘にまみれたって、生きていく道を選んでも、
わたしには、それでもいいんだ。

『→DEAD』の道標を選んだという事は、すなわち嘘つきへの道を選んだという事なのではなかろうか。

(あれ?『空中要塞「聖輦船」2F外側外壁のテーマ』は・・・?)


◇『ALIVE←』の先に待ち受ける試練

進むなら、左を見よ。
辛くも苦しくも、流転の先に希望を見るならば。
また新しい生のかたちをお前は知るだろう。

では、『ALIVE←』の先には何が待ち受けるのだろうか。偽タイトルは『コインいっこ入れたほう』、要するにコンテニューだ。つまり、ゲームオーバーの死の道ではなく、コンテニューして生き残る道が待っているのか?

弾幕シューティングゲームでコンテニューするという事はどういうことなのかというと、再び弾幕の悪夢に立ち向かうという事だ。コインいっこ入れるという事は辛く苦しい道を選ぶも同然である。

『→DEAD』を選んだ場合と比べて、『ALIVE←』の先にある楽曲の数は多くその道のりは険しく長いのだ。

最初に待ち受けるのは『佐渡の二つ岩』を原曲とした08.『Entanglement』だ。”Entanglement”は量子や糸の”もつれ”、”紛糾”を意味する。”ALIVE”への道を選んだは良いが順調に進めるはずもなく、初っ端から道を乱す化け狸が登場している。

次は、07.『rebellion -たいせつなもののために-』だ。『Entanglement』が引き起こした量子もつれの所為か、時代は科学世紀へ推移し、楽曲は宇佐見蓮子の反逆となる。幻想に偽りの認識を植え付けられた彼女は、その偽りを否定して幻想へ立ち向かうことを決意する。これは嘘つきだらけの世界への反逆の意志とも捉えられるだろうか。

嘘に立ち向かう意志を示した先に現れる刺客達。

06.『弦奏交響曲「河童様の云う通り」』
05.『サナエさん』
04.『風花艶月 ~ Hidden Story』

立ち塞がるのはこの3曲だ。実はこれらの楽曲に共通する事がある。

06は東方地霊殿のPHANTASMボス河城みとりのテーマ曲『河童様の云う通り』を原曲としている。しかし、このキャラクターはフェイク、地霊殿にPHANTASMなどは存在せず、実はファン制作の釣り動画からの出典となる。(河城みとりの元動画

05のタイトル『サナエさん』からは、まるで東風谷早苗をテーマとしたアレンジ楽曲のように見える。しかし、東風谷早苗の原曲は2つとも含まれてはおらず、原曲もオリジナルと表記されている。つまり、サナエさん≠東風谷早苗であり、サナエさんとは原作に関係のないフェイクキャラクターなのだ。(補足:RDさんのTweet

04の偽タイトルは『いつか君を“使う”ことに思いを馳せて』だ。タイトルに含まれる風と花の文字、赤より紅い夢を原曲としている等から、東方紅魔郷の没キャラクター冴月麟をテーマとしていると推測される。

以上に示した『冴月麟』、『サナエさん』、『河城みとり』の3人は、東方キャラに見せかけて公式的に登場した東方キャラではないのだ。

こちらを騙すフェイクな刺客達がALIVEの道に立ち塞がる、これは嘘の存在からの挑戦とも考えられる。

ちなみに、私はこの3人を『騙』のフェイク三人衆と呼んでいる。(嘘です。今考えました。)

「お前はここで終わりだがな!」

フェイクを越えた先に現れたのは『騙』におけるラスボス的な存在、03『もっともおそろしいもの』だ。

封獣ぬえは『正体を判らなくする程度の能力』の持ち主、真実を捻じ曲げ人の目を騙す力を持っている。正体不明に歪む認識を目の当たりにした者は無自覚にも嘘の情報を他者へと伝搬させることになる。彼奴は信じる者にとって立ち塞がる最大の敵だ。

しかし、肥大化した正体不明を御しきれず封獣ぬえは自滅。嘘は嘘によって敗れたり、ということか?

遂にラスボスを倒した。残るは、02.『Drift』の偽タイトルの通り全員集合した後、01『真実の詩』に辿り着き、最後は信じる者達による大円団だ。嘘つき教の霊夢ちゃんを泣かせてハッピーエンド!

幾つも立ち塞がる苦難を乗り越えて、僕らの辿り着いた真実。

「人を信じて生きていけ」

つまり、何が言いたいのか。

『ALIVE←』の先には嘘の存在達が繰り出す試練が待ち、それらを乗り越える事で人を信じることの素晴らしさをその目に宿すということだ。

ぼくらが、歩いていくこの道が、
歪んでなど、いないように。
真実はきっと、そう。
ただ、まっすぐに、続いているのか。

『ALIVE←』の道標を選んだという事は、すなわち信じる者への道を選んだという事なのではなかろうか。


◇雑記

概要でも触れたが、この記事は『ALIVE←』と『→DEAD』を主軸に捉えて『騙』を振り返ってみよう、という魂胆がある。

従来の『騙』の聴き方として、『真実の詩』から生順に聴く、もしくは『嘘のすゝめ』から逆順に聴く、の二通りの聴き方があったはずだ。

今回、振り返って得られた結論は、トラック10『貴女を幸せにするために』を起点として聴いてみるのもありではないか?ということだ。

『騙』とは、聴き手が選んだ道次第で辿り着く先が違うマルチエンディング方式とも解釈できるのではないか、と考えたのだ。とはいえ、『→DEAD』を選べば食われて即ゲームオーバーなのは少々エキセントリックだが、タイトルは()で閉じられているのでルーミアスルーできるかも?

今回の記事は、トラック14の扱いだったり、『貴女を幸せにするために』の楽曲の内容を深堀しない方針だったり、といつも以上に強引な解釈になっているが、『騙』のアナザーな楽しみ方として参考程度にしてもらいたい。

おまけ。

“嘘”と”道を選ぶ”というキーワードで思いつくのは、正直村と嘘つき村のなぞなぞだ。『騙』のコンセプトとはまた違ったものだが、分かれ道に立つ因幡てゐを見ていると、このなぞなぞがどうしても思い浮かんでしまう。

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