その扉の向こうに

door-knocker


Featured in: 綴
track: 11
arrangement: RD-Sounds
lyrics: RD-Sounds
vocals: めらみぽっぷ
original title1: 不思議の国のアリス
original title2:the Grimoire of Alice
length: 07:04


◇概要

She will meet some fantastic stories.
Tell me what she chooses, something holy.
Let me knock the door for more.
Ever wonderer.

『綴』のメインデザインキャラクター『アリス』のテーマ曲、『不思議の国のアリス』と『the Grimoire of Alice』を原曲としたアレンジ楽曲。『綴』に登場する『アリス』は『アリス・マーガトロイド』ではなく、『東方怪綺談』に登場する『魔法の国のアリス』(通称 ”ロリス”)のデザインが採用されている。

まずは、旧作の『アリス』とWin版の『アリス・マーガトロイド』は同一人物なのか。幻想掲示板発言集を情報ソースに判断材料を抽出すると、以下の4つが挙げられる。

 ①「紅魔郷以前以後で設定は一掃されている」

 ②「一応、同一人物」

 ③「アリスは今回で霊夢達と三戦目」

 ④「特に関連性は無く、思いっきり別人」

②と③は紅魔郷以前以後のつながりをフォローする発言、①は設定の破棄と変更を示唆する発言と取れるだろうか。②と④は真逆の意味を指すようにも見えるが、「①で設定が破棄されたこと→(win版の設定と)関連性は無い」、「容姿や人形の能力が全くの別である」→「思いっきり別人」と解釈すれば、少々強引だが互いに反発し合わない発言ともいえる。

他にも、『東方妖々夢』における霊夢との会話、『東方萃夢想』の公式ページ、『東方非想天則』などでアリス・マーガトロイドのテーマ曲として『the Grimoire of Alice』が採用されているなど、つながりを思わせる材料は数多く存在するようだ。

よって、『アリス』と『アリス・マーガトロイド』の関連性を結びつけるかのような公式のスクリプトが多いため、二人は同一人物である蓋然性は高いといえるだろう。

本楽曲を再考する上での前提条件として、『アリス』と『アリス・マーガトロイド』は同一人物としたいと思う。

※筆者は『東方怪綺談』を所持している訳ではございません。ソースはネットです。


◇アリスと扉

ブックレットに描かれた扉は一体何であるのか。この扉には、何の意味があって何処にある扉で何処へ続いているのか。まずはそこを明らかにしたい。

歌詞の内容から察するに、この扉の先に進めばアリスは大人になるのだろうか。開けた扉から溢れ出すトリコロール・カラーは『アリス・マーガトロイド』の衣装の色であり、旧作のアリスの衣装の色ではない。つまり、この扉は旧作のアリスが『アリス・マーガトロイド』へ成るための扉と考えられるだろう。トラック1『ドア・ノッカー』のタイトルの意味は正に大人の扉を叩くことを指しているように思える。

だが、なぜ扉なのだろうか。その答えは原作『東方怪綺談』のバックストーリーにある。

異変を感じた靈夢は、原因を調べるべく、魔物たちが何処から現れるのかを探ったのであった。
その結果、神社の裏山に昔からあった、「魔界の扉があるといわれる洞窟」 (そのまま)から現れることがわかった。

どうやら、博麗神社の裏山に『魔界の扉』があるらしい。だが、『東方怪綺談』STAGE1には、ドアノブがあり四角い形状のあの扉ではなく、『魔法陣』の形状をした扉があった。

魔法陣を目の前にした靈夢のセリフには「どうやって、魔界の扉を開 けるのかしら(汗)」とあり、扉とは魔法陣の比喩表情と解釈できるだろう。

設定上で魔法陣の先にドアノブのある扉があるのかもしれないのだが、なぜ『その扉の向こうに』のブックレットの扉は魔法陣ではないのか。

ブックレットを見てみよう。アリスはドアノブを手で握り、捻り、手前に引き、そして扉を開ける。これは扉を開ける者の「開ける」意思があって成り立つ動作である。

ドアノブのある扉でなければならない理由は「おとなになる、ということ」にあるのだと私は思う。

例えば、まだ幼い子供が自分の意思で玄関の扉を開けて外へ遊びに行く。友達の家の扉をノックし「遊びましょう」と声を掛ける。子供の遊び相手が家族から友達へと変化する、そんなありふれた子供の成長シーンだ。

扉を開けていつかの暴れ物がやってきた『Alice’s playground』へ向かう事が、アリスにとっての大人への第一歩ということだろうか。

もし扉が魔法陣であったとしたら、魔法により転送されるような描写になるだろう。これでは「おとなになる、ということ」を表現するのは難しい。

やはり、ブックレットに描かれたこの扉の形状でなければこの楽曲のコンセプトを完全には満たさないと私は思うのだ。


◇変わりゆく世界と少女

あなたを倒すためにわざわざこっちに、やってきたのよ!

東方怪綺談EXTRA STAGE アリスのセリフより

『東方怪綺談 EXTRA STAGE』ではSTAGE3の時とは違って、アリスの方から幻想郷へやってきている。つまり、既に扉を開けてこちらへ来ていると分かる。ということは、『その扉の向こうに』の時系列は『東方怪綺談』のEXの前なのだろうか。

EXのサブタイトルは『絵本のとびら開いて ~ Open sesame』。絵本の世界=幻想郷と捉えれば、アリスは魔界の扉を開いて幻想郷へやって来たと解釈できよう。

他にも、この”絵本”を魔導書『Grimoire of Alice』とすると、サブタイトルの”とびら”は魔導書への比喩とも捉えることもできるだろうか。

『その扉の向こうに』の細かい時系列はハッキリしない部分があるが、やはり扉を開ける最初の一歩が大事だと思っているので私的には怪綺談EXの前を推したい。ただ、ブックレットに描かれたアリスのデザイン的には、怪綺談EXの後と取るほうがそれっぽいかもしれない。

怪綺談EXクリア後のEDでは、アリスは幻想郷で社会経験(?)を積んでいる。神社の掃除をさせられたり、縄で吊るされたり、メイドをしたり、ストーカーされたりと色々な経験だ。おとなになるということのの答えがこれなのか…?怪綺談の後、アリスは幻想郷で過ごしているようだ。

さて、『東方怪綺談』の4年後、Win版の先駆けとなる『東方紅魔郷』が頒布されることとなる。

ブックレットに描かれたアリスについて、はなだひょう氏は旧作のアリスとアリス・マーガトロイドの中間を意識して描いたとのこと。

『その扉の向こうに』という楽曲は、旧作からWin版へ変わりゆく世界、そして世界と共に変わりゆく少女アリスを表現しているのだろう。


◇合わせて聴きたい曲

世界と共に変わりゆく少女達ソングをピックアップ。

▼始符「博麗命名決闘法布告の儀」

『掲』収録。『靈夢』から『霊夢』へ。命名決闘法を定めることで新たな世界へと転換した。ジャケットはWin版の霊夢の衣装だが、スタッフクレジットのカードには靈夢の衣装で描かれている。旧作からWin版への世界の変化すると共に『レイム』も変化したということだろうか。

▼curse upon me!

『音』収録。『まりさ』から『魔理沙』へ。はじめの魔法は一人の少女の世界を変えた。旧作の魔理沙からWin版の魔理沙への変化なのか、魔梨沙から魔理沙への変化なのか。ブックレットに描かれた魔理沙の衣装は紅魔郷のデザインに近く、帽子については旧作に近いように見える。


◇ブックレット

扉を開ける少女アリス、扉より溢れる三原色と光。

扉の向こうの光を受け、アリスの眼は七色に輝いており、不安とも愕きとも取れるその表情からは新たな世界を目の前にしたアリスの心境が読み取れる。

ケープ・リボン・カチューシャはアリス・マーガトロイドのそれに近く、旧作のアリスとアリス・マーガトロイドの中間を意識して描かれているようだ。

ブックレットイラストは『綜纏Vol.2 二旅』に収録。


◇雑記

トラック1『ドア・ノッカー』。

トラック2『ヒカリ』。

トラック11『その扉の向こうに』。

トラック12『エバー・ワンダラー』。

アリスのテーマ曲を原曲とした以上の4曲は『綴』独特の”アルバム構造”を作り出している要因になっている。インスト楽曲とボーカル楽曲がアルバムの”はじまり”と”おしまい”にそれぞれ2曲づつ配置されているのだ。他のアルバムでは『喩』の構造に近いだろうか。

こういった構造を採用することでアルバムにメリハリが付き、総集編的な立ち位置ながら個性の強いアルバムに仕上がっているように思う。また、ジャケット・インレイ・帯などもアリスを中心にデザインされていることから、『綴』は凋叶棕の中で最もアリスなアルバムといえるだろう。

今回は「合わせて聴きたい楽曲」として、同じキャラクターの楽曲ではなく、あえて似た要素を持つ楽曲を挙げた。

違うコンセプトで制作されたアルバムの楽曲を横に並べてみたら、実は共通している部分があったり、切り口が似ていたりとなかなか面白い発見をすることがある。

もしかしたらあの曲とあの曲を横に並べてみたら…?と、少し考えてみると楽しいかもしれない。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください