スターシーカー

流星


Featured in: 憩
track: 1
arrangement: RD-Sounds
lyrics: RD-Sounds
vocals: めらみぽっぷ
original title1: 恋色マジック
original title2: 星の器 ~ Casket of Star
length: 05:16


◇概要

RDWL-0005『憩』収録の一曲目。星を追うもの。

”スター”の名を冠する楽曲は凋叶棕ファンの間で「スターシリーズ」と呼ばれ、現在では3曲存在する。そのうちの最初の曲がこの『スターシーカー』である。この楽曲の主人公は人里の大手道具屋『霧雨店』の令嬢。ブックレットイラストに描かれた彼女の姿はまだ幼い様相をしている。

狭い世界の中で幼き少女は自由を夢見る。

『星型弾』、『閃光』、『天の川』、『恋』、『流れ星』・・・

現在の『霧雨魔理沙』を象徴するかのような単語が歌詞に散りばめられおり、本楽曲は彼女の出発点にあたるのだろうか。

数年後、『改』にリアレンジされて再収録。『スターシーカー ~ Where no man has gone before.』として生まれ変わった。より明るくよりポップに希望に満ちたアレンジがされている。サブタイトルの”Where no man has gone before.”は、『憩』版にて”最後のフロンティア”と歌われている部分となる。歌詞の変更点はほとんどなく、『憩』のものを純粋にパワーアップしたような楽曲だ。

今回は霧雨魔理沙の過去について軽く整理しながら楽曲を解釈していこうと思う。


◇時系列と『流星祈願会』

アレンジ元となる『恋色マジック』と『星の器 ~ Casket of Star』はWin版以前の原曲である。『スターシーカー』の歌詞やブックレットからは魔理沙が空を飛ぶ前のまだ実家を捨てていない頃の話と推測できる。原作・公式書籍に生い立ちがはっきりと書かれているわけではないが、少し時系列を整理したいと思う。

まずは霧雨魔理沙がいつまで実家にいたか。

まだ実家に居た頃にこんな事があった。あいつが珍しく家に来ていて、鉄くずを抱えて何やら親と口論していた。

―『東方香霖堂』第四話『霧雨の火炉 前編』より

霧雨の親父さんとは最後に会ってからもう十年以上も経とうとしていた

―『東方香霖堂』第十九話『奇跡の蝉』より

以上の二つ記述から、少なくとも十年以上前には魔理沙が実家にいたことは確定だろう。魔理沙の年齢設定を考えれば当然ではあるのだが…。次にいつから魔法を使い始めたのか。

そうして、第一回流星祈願会は幕を閉じたのである。――それから四、五年後の現代。

―『東方香霖堂』第二十一話『妖怪の見た宇宙』

第一回流星祈願会は四、五年前となる。香霖堂21話の挿絵では既に魔女の格好をしており、「もっと力強い魔法が使いたいぜ」というセリフから既に魔法を使っていると推察できる。

しかし、魔理沙が魔法使いになったのは実家を捨てる前なのか、実家を捨てた後なのか、どちらかは不明である。勘当の理由について、求聞史紀の記述には「霧雨家は魔法の道具を扱っていないから、その辺に何かあるとか」とあるが、阿求は核心に至っていない。

本人がその話を避けている以上、霖之助の独白でもない限り今後も設定がでてくる望みは薄い。東方香霖堂の今後に期待か?(眼鏡のJKに乗っ取られているが…

では、スターシーカーの時期はいつになるか。魔理沙は幼くまだ実家に居る、かつ、魔女の格好をしていない(魔法使いになってない)の2つの条件を満たしているはず。

現在の魔理沙の時間がサザエさん時空により固定されていると仮定して、魔理沙が父親と霖之助の口論を目撃した時〜第一回流星祈願会の期間の間でまだ魔法使いになっていない時期が、スターシーカーの時期といえる。

なお、流星に憧れを持ったのは流星祈願会がきっかけではない。第一回流星祈願会の会話で魔理沙は流星を派手で夜空の主役だと発言していることから、既に流星に対して特別な思いを持っていることは確かだろう。


◇合わせて聴きたい曲

時系列が分かりやすい霧雨魔理沙の楽曲をピックアップ。

▼嘘のすゝめ

『騙』収録。魔理沙はもう白黒衣装の魔法使いである。ブックレット背景を良く見ると、箒が成人男性の手によって折られている様子が伺える。この男性を魔理沙の父親と仮定すれば、時系列としては魔理沙が勘当された辺りになると思われる。

▼無題「空飛ぶ巫女と普通の魔法使いのいつもの毎日」

『掲』収録。自身のスペルカードの符名を悩む魔理沙が見られるため、スペルカードルールが制定されたてまだ日が浅い時期と推測できる。

▼スターゲイザー

『徒』収録。少し成長した魔理沙。スターシーカー時点の魔理沙の夢は「たらればではなく形を持つ」であったが、スターゲイザーでは「星になれたら―。」「恋が出来たら―。」”たられば”になってしまっている。大人になるということは、とてもかなしいことなのだ…。


◇ブックレット

柵に囲まれた部屋の中、着物姿の魔理沙は手を握りしめ決意をする。その傍らには色とりどりの金平糖が入った瓶、柵の間からは夜空の星が顔をのぞかせている。魔理沙の着物から漂う少しばかりの気品、さすがはご令嬢といったところだろうか。

『改』のブックレットでは着物ではなく、白黒のいつもの服。地に足を付けて箒に跨り、空を飛ぶ練習をしているのだろうか。スターシーカーの直後に霖之助に頼み白黒の魔法使い衣装を作ってもらって魔法の練習を始めた、と解釈しても面白いかもしれない。

『改』のジャケット裏側にはアレンジメントされる前の”着物の魔理沙”が可愛らしく座っている。

『憩』版は『綜纏Vol.1』、『改』版は『綜纏Vol.2 二旅』にそれぞれ収録。


◇雑記

スターシリーズの記念すべき一作目であり、凋叶棕のRDWLナンバリング楽曲において『霧雨魔理沙』のみに焦点を当てた初のボーカル楽曲となる。明るい曲調と可愛い魔理沙のイラストに心が癒されたファンも多いだろう。2011年は震災の年、『憩』が頒布された第八回例大祭が延期になるなど東方界隈としても大きなインパクトがあった年だ。近年、大きな災害が高頻度で発生しているこんな時こそ、我々は『憩』を聴いて心を休める必要があるのではないか。

そういえば、最近になって凋叶棕楽曲のカラオケ配信が再開された。その第1号として『スターシーカー ~ Where no man has gone before.』が抜擢されている。

私の感覚では『改』というアルバムはひとつの区切りというイメージがあった。

今までの名曲が新たに生まれ変わり一つのアルバムに集結する・・・。

一ファンとして、夢の競演に心が躍ったし、特設サイトの仕掛けにもとてもワクワクさせられたことを今でも覚えている。

『改』は総集編として過去を振り返ることができ、新たに楽曲がアレンジされたことで未来を垣間見ることができた。そんな節目ともいえる楽曲たちが、カラオケ復活のトップバッターを飾ることがなぜか感傷深く思えてしまうのだ。

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