ウッデン・シューズ・ウィズ・リトル・エレガンス

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Featured in: 憩
track: 2
arrangement: RD-Sounds
original title: 上海紅茶館 ~ Chinese Tea
length: 03:58


◇概要

RDWL-0005『憩』収録のトラック2。

東方紅魔郷3面道中BGM『上海紅茶館 ~ Chinese Tea』を原曲としているため、おそらくは3面ボス『紅美鈴』を主役とした曲なのだろうか。

この『憩』は凋叶棕のアルバムの中では珍しい癒し系であり、その名の通り「憩い」をテーマとしている。

「憩い」とは、休み、休養、休息、休憩、養生、息抜き、リラックス、一休み、くつろぎ、などなど。精神や肉体を休めるといった意味が込められる。

では、『ウッデン・シューズ・ウィズ・リトル・エレガンス』にはどのような「憩い」の意味が込められているのだろうか。

抽象度の高いインスト楽曲であるため、妄想成分多めで書き綴っていきたいと思う。


◇『ウッデン・シューズ』

インスト楽曲に込められた意向をくみ取るには、まずタイトルに注目するのが良いだろう。

タイトルの『ウッデン・シューズ』とは、英語表記で”wooden shoes”、木製の靴、”木靴”を指す。英語圏では”wooden shoes”よりは”clogs”と表記されるのが一般的だろうか。ちなみに日本で木製の靴といえば、”下駄”がある。

元々、木靴とは鉱山、農場、工場といった場所で、危険から足を守るために履く安全靴として重宝されている、労働者のための靴であった。現代の安全靴は木製ではなく、丈夫な皮や合成樹脂・鋼鉄・ゴムといった素材が一般的だが、木靴は湿気に強く履き心地が良いという評価がされており、今でも安全靴として利用されているケースもある。

そんな木靴であるが、労働者のための靴としての側面だけではない。アイルランドの鉱夫達が木靴を履いて床を鳴らす”clog dance”と呼ばれる伝統的な踊りがある。靴で床を鳴らすといえば”タップダンス”が有名であるが、その原型となった踊りが”clog dance”である。このように木靴には音楽を奏でるための靴としての側面もあるのだ。

蘊蓄はこれくらいにして本題。

『ウッデン・シューズ・ウィズ・リトル・エレガンス』の軽快な音楽には、木靴の”音楽を奏でる側面”が色濃く出ているものだと考えたいが、はたしてどうだろうか。

フランス語では木靴を”sabot”と呼ぶ。早い話、”sabot”とは、労働者が木靴で工場の機械を壊した行為が由来とされる”サボタージュ”という単語の語源、現代の日本では”怠けて休むこと”を指す言葉である。

『東方求聞史紀』での目撃報告例や『東方非想天則』の美鈴ストーリーEDなどにも見られるように『紅美鈴』には”サボり”をする傾向があるようだ。紅魔館におけるほのぼの日常系の二次創作にも見慣れたキャラ設定である。

タイトルの『ウッデン・シューズ』には”サボり”の象徴としての側面が強く、『憩』のテーマや『紅美鈴』のキャラクター性ともマッチしている。これに『ウィズ・リトル・エレガンス』と付いてくると、”少し優美にサボる”といった意味なのだろうか。

以上、タイトルに込められた意味についてはこんなところだろう。


◇隠された原曲

次に着目する点はアレンジに隠された原曲である。

凋叶棕のアレンジ楽曲において、公式で宣言された原曲以外の別の原曲が隠されていることがしばしばある。多くの場合、そのキャラクターが登場するシーン等、楽曲のモチーフに合わせた原曲がワンフレーズとして使用される。

比較的聴き取りやすい『フラワリングナイト』のワンフレーズが楽曲の終わり際に目立っている。前項で述べたように美鈴がサボっているというシチュエーションならば、咲夜が黙っているはずがない。美鈴が仕事をサボっていたら最後には咲夜にオシオキされる、という二次創作における王道的展開を表現しているのだろう。

また、楽曲の途中には『明治十七年の上海アリス』(2:25付近)や『メイドと血の懐中時計』(2:50付近)も聴き取ることができる。筆者もあまり自信はないが他にも、『もう歌しか聞こえない』(2:15付近)や『風神少女』(3:22付近)などなど、他にも様々な原曲のワンフレーズも含まれているように聴こえる。

しかし、これらは一瞬小節が流れたと思ったらすぐにいつもの調子に戻ってしまう。これをどう捉えたものか。

まずはひとつ、うとうとと居眠りする様子を表現しているのだろうか。眠気で夢と現の境界をふらふらと行ったり来たりと。美鈴の見る夢の中で原曲に対応したキャラクターが登場しているのかもしれない。『明治十七年の上海アリス』が流れた瞬間は美鈴の意識が少し覚醒した、と捉えるとなかなか面白い。

それとも、原曲に対応したキャラクターが紅魔館の門を素通りしている様子なのだろうか。門番がサボっているので侵入し放題である。『メイドと血の懐中時計』が流れた時にサボっている美鈴を一度見逃してると考えると、”めーさく”的においしい解釈になる。

上で挙げた”めーさく”要素と絡めて、タイトルの『リトル・エレガンス』を”幼い十六夜咲夜”と捉えてもそれはそれでアリなのかも?

隠された原曲からの考察は己の耳が頼りなので難易度が高い。上に示した原曲についても、すべて正しいとは限らないので参考程度に読んでいただきたい。


◇合わせて聴きたい曲

▼サボタージュに魂をかけて

『望』収録。タイトルに”サボタージュ”と堂々と入っている『小野塚小町』を主役とするインスト楽曲。しかし、この楽曲内では上司に叱られている様子はない。前のトラックが上司による説教なところがポイントだろうか。上司が一生懸命に説教している裏でサボっている点を考えると、サボりに関しては小町が一枚上手か?

▼それでも館は廻っている

『廻』収録。エレガンスに働く『十六夜咲夜』を主役とするボーカルアレンジ楽曲。この楽曲の裏では美鈴がエレガンスなサボりをしているわけである。

▼紅き伝説

『夢』収録。サボって昼寝していたのなら、美鈴はこんな夢を見ていたに違いない。聴く上で、『東方非想天則』の美鈴ストーリーも押さえておきたい。


◇雑記

サボる美鈴という、実に『憩』のテーマらしい楽曲だ。”憩”と”怠”では目的が若干違ってくるが”休む”という行為には違いない。

『東方永夜抄』にてこっそりズル休みをしていたメイド長さんがいるらしいが、不眠で働いているので許してあげたい。しかし、美鈴は一人の門番なので実質不眠不休の仕事を押し付けられているようなものなのだが・・・。

やはり、時間を操る程度の能力はズルい。美鈴のサボりも許してあげたくなる。しかし、門番がサボってなくてもレイマリに侵入されているので-2点。

『東方文果真報』P.106のメイド妖精募集のチラシには”アットホームな職場”、”優しい上司”など印象の良い怪しい言葉が並べられている。門番はメイド妖精とはまた違う待遇なのだろうが、紅魔館の福利厚生には期待できなさそうだ。

まあ、でも、美人な上司に叱られるのはちょっと悪くないかも?

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